日本でもウォーターサーバーの認知度は高まり、身近で利用する人が増えています。
しかし、水道水が安全とされる日本では、実際の普及率が気になるところです。
さらに、海外の普及率と比較するとどのような状況なのでしょうか。
ここでは、ウォーターサーバーの普及率について解説します。
日本でのウォーターサーバーの普及率はどのくらい?

まず、日本におけるウォーターサーバーの普及率について詳しく見ていきましょう。
都道府県ごとの普及率についてや、日本で普及している理由などについても解説します。
日本のウォーターサーバーの普及率
ネットリサーチ会社「My Voice(マイボイスコム)」が2023年7月に実施した調査によると、日本におけるウォーターサーバーの普及率は約5%でした。
5%という数字は少なく感じるかもしれませんが、2010年に実施された同じ調査では普及率が3%だったため、徐々に増加していることが分かります。
日本で一番普及率が高い都道府県は沖縄
日本の都道府県の中で最もウォーターサーバーの普及率が高いのは沖縄県です。次いで2位が東京都、3位が埼玉県と茨城県となっています。

2位以降には関東圏が多く含まれていますが、これは「都会では水道水があまり美味しくない」と言われることが影響していると考えられます。
しかし、そうなると1位の沖縄県はなぜ普及率が高いのでしょうか。その理由は、次の解説に関係しています。
日本で普及率が増えた理由
沖縄県の水道水は、全国と比較して硬度が高いとされています。日本人は一般的にミネラルの少ない軟水を好む傾向があるため、沖縄ではウォーターサーバーの利用が広がっていると考えられます。
また、近年の健康志向や安全志向の高まりにより、品質管理が徹底されたウォーターサーバーの利用者が増えていることも、普及率の上昇に影響を与えています。
他の国のウォーターサーバーの普及率

海外におけるウォーターサーバーの普及率について見ていきましょう。
アメリカでの普及率
アメリカにおけるウォーターサーバーの普及率は、約50%と非常に高い水準です。これは、日本の約10倍にあたり、二世帯に一世帯がウォーターサーバーを利用している計算になります。
この高い普及率の背景には、アメリカでは水道水に塩素などの添加物が含まれていることを理由に、飲用を避ける傾向があることが挙げられます。多くの人が、より美味しい水を求めてウォーターサーバーを利用していると考えられます。
中国での普及率
中国でもウォーターサーバーの普及率は約32%と高い水準にあります。
この背景には、中国において水源となる川や湖の汚染が深刻であり、水道水の衛生面に対する不安が根強いことが挙げられます。そのため、多くの家庭やオフィスでは、ミネラルウォーターを購入するか、ウォーターサーバーを利用することが一般的になっています。
韓国での普及率
韓国ではウォーターサーバーの普及率が約60%と、アメリカを上回る水準となっています。
韓国では、家庭だけでなく、レストランやオフィス、ホテル、さらには銀行など、さまざまな場所にウォーターサーバーが設置されているのが一般的です。

そのため、外出先でも手軽に利用でき、ウォーターサーバーが日常生活の一部として定着しているといえます。
ヨーロッパはポット型の浄水器が普及
ヨーロッパでは、ウォーターサーバーの普及率はそれほど高くありませんが、ミネラルウォーターの消費量が日本の4~5倍にもなるなど、水に対する関心は非常に高いことが特徴です。
また、ヨーロッパではポット型の浄水器も広く普及しており、ウォーターサーバーの代わりに利用されることが多いと考えられます。このことから、ウォーターサーバーそのものの普及率は低いものの、安全で美味しい水を求める意識は他の国と同様に強いといえるでしょう。
ウォーターサーバーの普及率が増えている理由

ウォーターサーバーが注目され、日本でも普及し始めている理由について解説します。
美味しい水が飲める
ウォーターサーバーの最大のメリットの一つは、いつでも美味しい水が飲めることです。
日本の水道水は安全に管理されていますが、衛生基準を保つために塩素などの添加物が含まれています。
これらは人体に害を及ぼすものではありませんが、味や匂いに影響を与えることがあります。
そのため、天然水やろ過された水を好む人にとって、ウォーターサーバーは魅力的な選択肢となります。
冷水・温水がすぐ出る
ウォーターサーバーは、冷水と温水の両方を瞬時に利用できるのが特徴です。
お湯を沸かす手間がなく、冬はすぐに温かい飲み物を作ることができ、夏は冷たい水を手軽に楽しめます。
この利便性の高さが、多くの家庭で支持されている理由の一つです。
重たい水を買いに行かずに済む
ウォーターサーバーを利用すれば、スーパーやコンビニで重たい水を買い、運ぶ手間を省くことができます。

特に毎日水を消費する家庭では、ペットボトルの水を頻繁に購入するのは大変です。
しかし、ウォーターサーバーならば定期的に玄関まで配送されるため、労力を大幅に削減できます。
赤ちゃんのミルクに便利
赤ちゃんのミルク作りには適温のお湯が必要ですが、ウォーターサーバーを使えば適温に近いお湯をすぐに出すことができます。
また、赤ちゃんの体にはミネラルの少ない軟水が適しているため、軟水を扱うウォーターサーバーを選べば、安心して使用できます。育児をしている家庭にとって、大きな助けとなるでしょう。
料理が美味しくなる
水は料理の味に大きく影響を与えます。
例えば、一流の蕎麦屋では水にこだわり、水道水ではなく天然の湧き水などを使用することが一般的です。
同様に、ウォーターサーバーの水を使うことで、ご飯の炊き上がりが良くなり、料理の味が向上することが期待できます。
震災時も安心
日本では地震や台風などの自然災害が頻発しており、非常時の備えが重要視されています。
災害時には水道が使えなくなることもありますが、ウォーターサーバーがあれば安全な水を確保できます。

飲料水としてだけでなく、調理や衛生管理にも役立つため、防災の観点からも注目されています。
健康にも良い
ウォーターサーバーの水は、厳しい品質管理のもと提供されており、安全性が高いのが特徴です。
人間の体の約60%は水でできており、日々の水分補給の質が健康に影響を与えます。安全で美味しい水を飲むことで、体調管理を意識する人にとっても、ウォーターサーバーは価値のある選択肢となるでしょう。
このように、ウォーターサーバーは利便性、安全性、健康面など、多くのメリットがあるため、日本でも普及が進んでいるのです。
ウォーターサーバーの普及率増加の妨げとなる理由とは
ここまでウォーターサーバーの魅力を紹介してきましたが、日本における普及率はまだ決して高いとは言えません。
では、ウォーターサーバーの普及を妨げる要因にはどのようなものがあるのでしょうか。
それぞれ解説していきたいと思います。
水道水でも大丈夫
日本の水道水は、世界でも最高水準の安全性と品質を誇ります。そのため、多くの人が水道水で十分と考えており、特にウォーターサーバーの必要性を感じていないことが普及の壁となっています。
日本語の表現に「湯水のように使う」という言葉がありますが、水不足に悩む国では逆の意味を持つこともあるほど、日本では水が豊富で安全という認識が根付いています。そのため、特に水の味や安全性にこだわる人以外は、ウォーターサーバーを導入する動機が薄いのかもしれません。
費用がかかる
ウォーターサーバーの維持費は、機種によって異なりますが、一般的に月額3,000円から6,000円程度とされています。

これはペットボトルのミネラルウォーターを頻繁に購入するよりは経済的ですが、水道水と比較すると明らかに高額です。
家計に負担がかかると感じる家庭にとって、継続的なコストがウォーターサーバーの導入をためらう要因になっています。
ボトル交換などが面倒臭い
ウォーターサーバーは、専用のボトルをセットする方式が一般的で、水を使い切ったら新しいボトルに交換する必要があります。この作業が面倒と感じる人も少なくありません。
さらに、ウォーターサーバーの種類によっては定期的なメンテナンスが必要であり、こうした手間を負担に感じることが普及の妨げとなっていると考えられます。
ウォーターサーバーを置く場所がない
日本の住宅は、欧米と比較すると広さに限りがあり、収納やスペースの問題が常に考慮されます。
ウォーターサーバーは冷蔵庫ほどの大きさではないものの、それなりの設置スペースが必要となるため、「置き場所がない」と感じる家庭も多いようです。

近年ではコンパクトな卓上型のウォーターサーバーも登場していますが、こうした省スペース型の製品が普及すれば、導入のハードルが下がる可能性があります。
浄水器を使用している
ウォーターサーバーが普及する以前から、日本では浄水器が広く使われていました。特に、水道水の品質が現在ほど向上していなかった時代には、家庭用浄水器の利用が一般的でした。
現在も、多くの家庭で浄水器が設置されており、安全で美味しい水を確保する手段として十分と考えられています。そのため、「すでに浄水器を使っているからウォーターサーバーは不要」と判断する家庭も少なくありません。
このように、日本では水道水の安全性、コスト、手間、スペースの問題などがウォーターサーバーの普及を阻む要因となっています。しかし、これらの課題が解消されることで、今後さらに普及が進む可能性も考えられます。
ウォーターサーバーを利用するメリット

ウォーターサーバーを導入することで得られるメリットについて、詳しく見ていきましょう。
美味しく安全な水が飲める
ウォーターサーバーで提供される水は、各メーカーが厳格な品質管理を行っており、安心して飲める上質な水です。
種類や価格帯によって水の特徴は異なりますが、基本的には水道水よりも安全で、味も良いとされています。家族全員が日常的に口にする水の安全性が確保されているというのは、大きな安心材料となるでしょう。
24時間冷水・温水が利用可能
ウォーターサーバーは、電源を入れておけば24時間いつでも適温の水を供給できます。
冷水を飲みたい時に冷蔵庫で冷やす手間が不要であり、お湯が必要な際も火を使わずにすぐに利用できるため、利便性が非常に高いです。暑い夏の日に冷たい水をすぐに飲めることや、寒い冬に素早く温かい飲み物を作れることは、日々の快適さにつながります。
ゴミが増えない
ペットボトルのミネラルウォーターを購入している場合、毎日数本のペットボトルを消費し、その分のゴミが発生します。
ウォーターサーバーの場合、一般的なボトルサイズは12L前後で、使用済みボトルが出る頻度は1〜2週間に1本程度。

ペットボトルのゴミを減らせるため、ゴミ処理の手間が減り、環境への負荷も軽減できます。
災害時は備蓄水となる
近年、日本では地震や台風などの災害が頻発しており、水道が停止する事態が発生することもあります。
そのため、多くの家庭ではペットボトルの水を備蓄していますが、ウォーターサーバーがあれば、特別に備蓄用の水を購入しなくても、日常的に使いながら自然に水をストックすることができます。いざという時にも安心して使える点は、大きなメリットといえるでしょう。
ウォーターサーバーを利用するデメリット

これまでウォーターサーバーのメリットについて解説してきましたが、導入にあたってのデメリットも考慮する必要があります。以下のような点が、導入のハードルとなる可能性があります。
維持費がかかる
ウォーターサーバーの維持費は、月額3,000円から6,000円程度で、機種や契約プランによって異なります。
水道水と比べるとコストがかかるため、日常的にどれほどの価値を感じられるかを考える必要があります。特に、水道水で特に不満がない場合は、この金額を負担することが高く感じられるかもしれません。
ボトル交換やメンテナンスに手間がかかる
ウォーターサーバーは、定期的に配送されるボトルを自分で交換する必要があります。
ボトルは12L程度のものが多く、持ち上げるのが大変と感じることもあるでしょう。
また、サーバー本体の定期的な清掃や、メーカーによるメンテナンスが必要な場合もあります。こうした手間が負担になり、利用をためらう要因の一つとなることがあります。
設置場所を確保しなくてはいけない
ウォーターサーバーは、冷蔵庫ほどの大きさではないものの、人ひとり分ほどのスペースを必要とします。
特にキッチンやリビングなど、設置したい場所がすでに手狭な場合、どこに置くかが悩みどころになることがあります。

最近ではコンパクトな卓上型も登場していますが、スペースに余裕がない家庭では導入しにくいかもしれません。
ウォーターサーバーの普及率についてまとめ
現在、日本のウォーターサーバーの普及率はまだ高くありませんが、徐々に増加傾向にあります。
また、アメリカ・中国・韓国などでは、それぞれの国の事情によりウォーターサーバーの普及率が高くなっています。日本においても、今後のライフスタイルの変化によって普及が進む可能性があります。
ウォーターサーバーには多くのメリットがある一方で、維持費や手間、設置スペースの問題などのデメリットも存在します。導入を検討する際には、メリットとデメリットをしっかり比較し、自分の生活スタイルに合っているかどうかを考えてみるとよいでしょう。