沖縄美ら海水族館のある沖縄本島北部「本部町」を走る県道84号線は、20軒近くもの沖縄そば屋が連なり「本部そば街道」とも呼ばれています。
この街道沿いに、30年以上前から店を構えるのが「石くびり」。
不思議な店名に感じられますが、琉球舞踊や三線の曲にもなっている「伊野波(いぬふぁ)の石くびり」という琉球の古歌に由来します。
この歌碑が店からほど近く、またそこが店主が生まれ育った場所でもあることから名付けられたそうです。今では民謡コンクールに備え、縁起を担ごうと遠方からわざわざ店を訪れる人もいるとか。
沖縄各地に根強いファンを持つ「石くびり」の魅力に迫ります。
1.地元で30年愛され続ける優しい味
沖縄そばの味の決め手は、なんといっても麺!
石くびりではオープン当初から変わらず、本部の製麺所に特注したオリジナル麺を使っています。
「熟成冷凍」という技法で作られた縮れ平麺は、豚骨、鶏、かつおベースの手作りスープに絡みがいいだけではなく、麺自体も味わい深いのが特徴です。
沖縄そばのトッピングに欠かせないのがソーキの煮付け。
こってり甘辛く味付けられたソーキは、そばはもちろんご飯との相性もよさそう。
もう一つのトッピングであるこちらのかまぼこは、本部町の市場で手作りされているものだとか。
本部町で作られた麺も具材が使われていることも、地元の方々に愛される理由なんでしょうね。
こちらが一番人気の「石くびりそば」。
すっきりとしたスープに麺も具材もたっぷり。
最後までさっぱり食べられるように、なますがセットになっているのも嬉しいですね。
メニューは他にも野菜そばや牛肉もやしそばなどがあります。
2.のんびりお昼寝も?懐かしさを感じる店構え
沖縄そば屋は沖縄では、老若男女が集う憩いの場。
どんな世代からも親しまれるためには、おしゃれ過ぎず、しかし清潔感と温かみを備えていることが大事なはず。
そう考えると、石くびりの店構えは完璧ではないでしょうか?
気取らず、レトロさが感じられる外観が、ほっこりとした雰囲気を醸し出しています。
店内は座敷席もあり、とっても広々。
懐かしい食堂といった風情に、ふっと肩の力が抜けるようです。
さらに奥に進むと、もう一つ大きな和室がありました。
聞けばこちらの和室では、お昼を食べに来た近所の年配の方々が、食後に何時間もゆんたく(おしゃべり)を楽しんだり、時に昼寝をしたりと、ゆっくり過ごしているんだとか。
それだけくつろいでしまうのも納得の、温かい空気に満ちた空間なのです。
そばもお店の雰囲気も、素朴で温か。
昔ながらの沖縄の良さが詰まっているような、素敵な沖縄そばの名店です。
text:仲濱 淳
Photo:白木 裕紀子
(取材:2021年1月)
住所: 沖縄県国頭郡本部町東464-1
電話番号: 0980-47-4769
営業時間: 11:00~14:00
定休日: 月曜日・火曜日
駐車場: あり