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世界遺産「斎場御嶽(せーふぁうたき)」

沖縄本島南部、南城市にある「斎場御嶽(せーふぁうたき)」は、観光客が一度は訪れる沖縄有数の観光名所。

世界文化遺産に登録されているこの史跡の歴史は古く、琉球王朝時代には国家的な儀式が行われてきた王国最高の聖地でした。

今でも多くの人々から崇拝を集める斎場御嶽について、ガイドさんの案内とともに巡ってみました。

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目次

1.世界文化遺産「斎場御嶽」は琉球王朝時代から続く王国最高の聖地

斎場御嶽|「アマミキヨ浪漫の会」ガイドさん

斎場御嶽ではその歴史をより深く知ってもらうため、南城市観光協会認定の「アマミキヨ浪漫の会」のガイドさんによる案内を有料で実施しています。

今回は石田英明会長に案内していただきました。

斎場御嶽の「御嶽(うたき)」とは「聖地」のこと。

本土でいうところの「鎮守の森」、すなわち地域の神を守る場所で、沖縄には900カ所ほどあると言われています。

斎場御嶽はその数ある御嶽の中でも、琉球王国最高の聖地として王府が直接管理しており、王家の最も格式の高い祈りの場所でした。

ガイドの石田さん曰く、例えるなら、本土での伊勢神宮のような存在とのこと。

琉球国王や王国最高位の神女である「聞得大君(きこえおおきみ)」の聖地巡拝の行事「東御廻り(あがりうまーい)」の参拝地の一つでもあり、今なお多くの人々から崇拝を集めています。

斎場御嶽|緑の館・セーファ

ここがなぜ「斎場(せーふぁ)」と呼ばれるようになったかは諸説ありますが、この土地がかつて「サイハバル」と呼ばれ、それが「せーふぁ」になったとも言われ、また沖縄において「斎場」は清める場所という意味を持つことから、この文字が充てられたとも考えられているそうです。

それでは石田さんの案内のもと、斎場御嶽見学をスタート!

2.南城市観光協会認定のガイドさんによる案内で、一層理解が深まる

斎場御嶽|参道入り口

こちらはかつて、斎場御嶽への参道でした。

参道の中腹には「ウローカー」と呼ばれる泉があり、かつて参拝者はそこで身を清めたのちに、斎場御嶽の入口へと向かいました。

斎場御嶽|久高(くだか)島を見渡す遥拝所

 参道から斎場御嶽の入口の間には、久高(くだか)島を見渡す遥拝所があります。

斎場御嶽から東、つまり太陽の上がる方向に位置する久高島、さらにその向こうに広がるとされる「ニライカナイ(琉球で古くから伝えられている神の世界を意味する言葉)」へ、ここからもお祈りしたようです。

斎場御嶽|御門口(うじょうぐち)

ここは、斎場御嶽の入口である御門口(うじょうぐち)。

かつて、ここから先は男子禁制で、国王であっても入ることは許されませんでした。

ではどのようにして、国王は斎場御嶽をお参りしたのでしょう?

斎場御嶽|御門口(うじょうぐち)6つの香炉

その答えが、御門口の手前に置かれた6つの香炉。

これらの香炉がこの先にある6つの拝所の代わりとされ、国王をはじめとした男性は香炉に向かって祈りを捧げていました。

しかしなぜ、琉球王朝時代、女性だけが神に仕える役職についたのでしょう?ガイドの石田さんに伺いました。

石田さん:

「かつて琉球では、男性は海に出て働き、女性は家に残って男性の無事を祈るという主な役割がありました。それがやがて、姉妹には兄弟を守護する霊力があるとする”おなり神信仰”になり、琉球王国の基盤となりました」

3.斎場御嶽には重要な6つの“拝所”があります

斎場御嶽|大庫理(うふぐーい)

御門口を登っていくと左手に見えるのが、最初の拝所「大庫理(うふぐーい)」。

大広間や一番座という意味を持つここでは、聞得大君の就任式が行われました。

前面には石畳の敷かれた祈りの場「うなー」があります。

斎場御嶽|参道に生い茂る亜熱帯の植物
斎場御嶽|儀礼の際に使われた「トウツルモドキ」

道中にはさまざまな亜熱帯の植物が生い茂り、それを観察しながら斎場御嶽を巡るのも楽しみの一つ。

例えば、このくるくるとした巻きひげがある「トウツルモドキ」という植物は、儀礼のときに頭に巻くなどして使われたそうです。

斎場御嶽|寄満(ゆいんち)

次にたどり着いたのは、2番目の拝所「寄満(ゆいんち)」。

王府用語で台所を意味しますが、実際にここで調理したわけではありません。

「寄せて満ちる」の文字のとおり、当時貿易で栄えた琉球王国に寄せられ、満ちた交易品の数々が集まったことを表しているそうです。

斎場御嶽|シキヨダユルアマガヌビーの壺とアマダユルアシカヌビーの壺

続いて、3番目と4番目の拝所、「シキヨダユルアマガヌビーの壺」と「アマダユルアシカヌビーの壺」に到着しました。

奥がシキヨダユルアマガヌビーの壺。手前がアマダユルアシカヌビーの壺です。

斎場御嶽|アマダユルアシカヌビーの壺

2本の鍾乳石から滴り落ちる水は「聖なる水」とされ、それを受けるための2つの壺が置かれています。

ちなみに、「シキヨダユルアマガヌビー」の「シキヨ」とは、先ほどの道にも生えていたトウヅルモドキのこと、「ダユル」とは「伝わる」という意味、「アマ」とは空、「ヌビー」とは美しい水のことを差す昔の言葉。

「アシカヌビー」の「アシカ」とは、チョウジという植物の一種を表す昔の言葉だそうです。

斎場御嶽|三角岩

こちらが、斎場御嶽の代名詞ともいえる三角岩。

この岩は琉球石灰岩の大きな岩が雨によって分かれ、割れ目を境に岩塊が傾いてできたものだそうです。

斎場御嶽|三庫理(さんぐーい)

三角形の岩の間を進むと突き当たる小さな空間が、5番目の拝所「三庫理(さんぐーい)」。

斎場御嶽|チョウノハナ

そして、「三庫理」の隣にあるのは、6つ目の拝所「チョウノハナ」。

ここに置かれた15個の香炉は、聞得大君が15代続いたという証。

今でもここに祈りを捧げる人が訪れることから、香炉は全て往時のものを使用しているそうです。

ここの石畳は、2000年に斎場御嶽が世界遺産に登録された際に敷き直されました。

その際、なんと地下から金の勾玉3個を含む多数の鎮め物が発見されたそうです!

いつ、誰が、何のために埋めたかは、文書が残っていないのでわからないそうですが、ここが崇高な場所だったことは確かです。

斎場御嶽|久高島

「三庫理」と「チョウノハナ」の反対側に目を向けると、ハッとするほど美しい景色が広がっていました。

生い茂る木々の間から、ちょうど久高島を望めます。

久高島は、琉球開闢(かいびゃく)の神、アマミキヨが降り立ったとされる最初の場所。

この雄大な景色を見るれば、斎場御嶽が聖地になったのもうなずけます。

今回ガイドさんに案内していただいたことで、知っているようで知らなかった斎場御嶽のことがよくわかり、親しみと敬意の念が一層湧きました。

せっかく斎場御嶽に来るならば、沖縄特有の信仰や歴史、文化を、専門家に教えてもらっていはいかがでしょう?

きっとこの聖地を「見る」だけでなく、聖地の持つ意味を「知り」、厳かな空気をより体感できるはずです。

text:仲濱 淳

Photo:白木 裕紀子

(取材:2020年2月)

\ おすすめプラン紹介 /

住所: 南城市知念字久手堅539

電話番号: 098-949-1899(緑の館・セーファ)

料金目安: 【大人】300円 / 【小中学生】150円 / 【団体(20人以上)】200円 

営業時間: 11月~2月/9:00〜17:30(最終チケット販売16:45/最終入館17:00)3月~10月/9:00〜18:00(最終チケット販売17:15/最終入館17:30)

定休日: 年2回休息日あり。(2021年6月10日~12日、11月5日~7日)

駐車場: あり

その他: チケットは南城市地域物産館窓口(自動券売機)/予約ガイド料:1回2,000円。ガイド申し込みは緑の館・セーファまで。

店舗詳細URL: http://amamikiyo.jp/
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