ボクネン美術館

観光やショッピングでにぎわう北谷町（ちゃたんちょう）・美浜アメリカンビレッジ。

波打つ赤瓦屋根が特徴的な巨大な建物。

沖縄好きな方ならきっと見かけたことがあるのでは？

ここは木版画作家・名嘉 睦稔（なか ぼくねん）氏の作品を鑑賞できるミュージアム施設「ボクネン美術館」。

沖縄の原風景を思わせるボクネンワールドをのぞいてみましょう。

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1.作家・名嘉睦稔の作品を堪能できる美術館。年2回開催の企画展にも注目

にぎやかな町・美浜アメリカンビレッジ内で、ひと際目を引く赤瓦屋根の建物「ボクネン美術館」。

２階建ての館内には、美術館に加えて画廊ギャラリーとショップも併設。

木版画作家・ボクネン（名嘉睦稔）の世界を堪能できる複合施設です。

ボクネン氏は1953年沖縄県伊是名島生まれの木版画作家。

色彩豊かな作品は九州・沖縄サミットの広報用絵葉書や環境省のポスターなどにも起用され、これまで国内外で数多くの個展を開催した、沖縄を代表するアーティストです。

島の大自然に育まれた豊かな感性を遺憾なく発揮し、現在も新たな作品を生み出し続けています。

2階の展示フロア。

年に2回開催される企画展では、約2,300点にもなる総作品の中からテーマに沿った作品が展示されています。

ゆったりと観覧できて、全館内撮影OKなのもうれしいポイント。

ボクネン作品最大の特徴は、「裏手彩色」という技法による色彩豊かな木版画。

板に彫刻刀で彫った絵を、墨で和紙に写し取ったあと、その裏から多めの水で溶いた色を筆で塗りつけます。

繊維の間から表ににじみ出す色は、独特の風合いを持ちます。

版画というとモノトーンのイメージがありましたが、こんなにも彩り豊かだと眺めているだけで心踊ります。

実際の版木も飾られています。

沖縄の自然や生き物、その時に見たもののインスピレーションを大切に描くボクネン氏の製作スタイルは、とにかくスピード勝負。

このサイズ感だとなんと1時間もかからず一気に彫り上げてしまうのだそう…！

館内を案内してくれた企画広報の高江洲 安祐美さん。

これまでの膨大な作品に向き合い、美しい海やお魚を描いたものを集めて今回の企画展テーマ「彩り～珊瑚礁の魚たち～」を発案されたそう。

「ボクネンさんは、美しいものを見ると“美味しそう”と言って何でも口にして確かめるんです。その辺りで生えている草花をくわえながら、美術館にふらっと現れることも多いんですよ」と芸術家ボクネン氏ならではのエピソードをお話してくれました。

美術館を訪れたら、運よくご本人に会えるかも？

企画展の見どころは、迫力満点！畳12枚分の大作。

企画展「彩り」（＊2023年9月24日まで開催中）では、珊瑚の海がダイナミックに描かれた「大礁円環」が展示されています。

水の音のBGMがささやかに流れる中、目の前のベンチに座って対峙すると、まるで海の中にいるかのような気分に浸れます。

2.波打つ赤瓦屋根に穴場のビュースポット。見どころ満載の建築物「AKARA」

ボクネン美術館の二つ目の見どころは、建築物としてのデザイン性と景観の素晴らしさ。

この波打つ赤瓦屋根も、ボクネン自ら構想・デザインしたものです。

建物の名称「AKARA（アカラ）」は「赤いもの」を意味し、赤瓦であり、赤ちゃんであり、昇る太陽のような “生命の象徴” という想いが込められています。

2階の展示フロアかららせん階段を上った先にあるのは、知る人ぞ知る穴場の絶景スポット「甍の波（いらかのなみ）展望台」。

サンセットビーチが目の前に広がり、絶景を独り占めできます。

もう一つのおすすめスポットは、1階入口すぐの「ワルミ通り」。

やわらかな木漏れ日と、爽やかに通り抜ける風がなんとも心地よい空間です。

2010年に誕生したAKARAは今年で13年目。

経年と共にガジュマルやアコーなどの木々が生い茂り、ボクネンが思い描いた理想の形が再現できてきているのだそう。

3.お気に入りのアートをお土産に！ギャラリー&ミュージアムショップ

1階には、ボクネン作品を実際に購入することができる画廊「アカラギャラリー」とミュージアムショップが併設。

ショップでは、額縁に入ったレプリカをはじめここでしか手に入らないオリジナルグッズが揃います。

レプリカ以外にも、Tシャツや文具、扇子などボクネンデザインのグッズも多数。

お気に入りのボクネンアートをお土産で持ち帰れるのも醍醐味です。

北谷観光の合間に、気軽に立ち寄れる立地も魅力のミュージアム。

ボクネンが表現する沖縄アートを体感しに、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。

Text:花城 綾子

Photo:松本 佳恵

（取材：2023年5月）

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