宜野座村の国道329号線から海の方向へ入った川沿いに、宜野座養殖場直営の「車えびレストラン球屋」があります。

養殖場は1989年3月にできたので、すでに35年近い歴史があります。
レストランは、お客さんからの「養殖場で育った車えびの料理が食べられるところがあるといいなぁ」との声に背中を押されて2005年にオープンしました。
1.二時間待ったお客さんを笑顔にする料理
お客さんの声を形にしたわけで、これにより新鮮でプリプリな活き車えび料理を提供できるようになり、お店は大繁盛。
場合によっては入店までに2時間以上待つこともあるそうです。
そのため、お客さんは不機嫌な表情を見せることもありますが、食べた後は「おいしかった」とニコニコしながら帰っていくといいます。
では、お客さんを笑顔に変えるメニューのいくつかを見てみましょう。


上の写真はゴジラ天丼です。
ゴジラは車えびのサイズを表しており、約18cmになります。
天丼の内容は、活き車えび2尾とカボチャ、ナス、インゲン、ニンジン、シメジ、ハンダマの天ぷら。
見た目の迫力も相当なもので、出てきたとたん「おお~」と思わずお客さんの声が上がります。
えびの頭はカリッと揚がっており、えびミソは濃厚で頬張った時の風味がたまりません!
さらに、創業以来変わらない天丼のタレは甘めで、天ぷらとの相性はばっちりです。


ゴジラフライ定食ですが、こんな大きな車えびのフライは滅多にお目にかかれません!
ゴジラでこのサイズですが、それよりも大きいメガゴジラ、モンスター、ウルトラとまだ上のサイズがあります。
迫力は天丼にまさるとも劣りませんし、頭がついている状態で調理されているので今にも動き出しそうです。
食感は、天ぷらよりもえびに包丁を入れていないらしく、プリプリ感が高くなるように調理されています。


極めつけはゴジラ刺身定食です。
養殖場直送の活きえびだからこそ提供できる料理といっていいでしょう。
ちなみに、当日に採れた活き車えびを、お客さんに出したときにも動いているように、スピーディーに調理するそうです。
その結果、頭のないえびが器の中ではねるとか、口の中で動くなどといったパフォーマンスを見せたりもします。
2.活きえびの魅力を最大限に引き出すワザ

「これほど新鮮な活きえびが食べられるお店はなかなかないと思いますよ」と胸を張るのは、厨房で腕をふるう栄 将太郎店長。
「天ぷらとフライのえびは、内部をあえて半生に仕上げており、これによって車えびの持つうまみを最大限に引き出します。こうした芸当は活きえびでしかできません」
また、衣に使う天ぷら粉はできるだけ30分以内に使い切り、天ぷらは薄衣で仕上げるこだわりや、野菜はなるべく県産品を使うなど、えび以外にも食材にこだわって調理しているといいます。
ちなみに栄店長はこのレストランで腕をふるうようになって6年目、車えび料理に対しての探求心と向上心を忘れずに仕事にあたっています。
調理以外にも接客、養殖場の手伝い、出荷するえびの箱詰めなどもたまにしているといいます。
「お客様は観光客が多いですね。沖縄に来たら必ず寄ってくださるというリピーターや、外国人の方もけっこういます。
地元だと本島南部あたりからわざわざ足を運んでくださる方もいらっしゃいます」 また、値段も自慢のひとつだと栄店長はいいます。
上の料理3品はいずれも税込2,500円ですが、車えびという高級食材の18cm級が2尾、しかも鮮度抜群ということになれば、本土ではとてもこの値段では食べられません。
ましてやコースともなると万単位が当たり前。
このお店にもコースメニューがあり、ゴジラサイズ6尾を含むコースが5,800円と、かなり格安です。
さらに、ここでは直売もしており、活き車えびや冷凍車えびを全国発送もしてくれます。
「お盆や年末にはお得なセールもあるのでぜひご利用を」と栄店長もいっていました。
3.食の芸術品ともいえる車えびを生み出す養殖場
このレストランが養殖場の直営であることが、新鮮な車えびが食べられる秘訣であることは前述の通りです。

レストランに隣接している養殖池を見せていただきました。
ちなみに名護市の屋我地島の養殖場にもレストランがあるので、近くにお越しの際はぜひお立ち寄りくださいとのことです。

案内してくれたのは宜野座養殖場の場長・川崎 龍さん。
こちらには養殖池が10面あり、合計24,000?の広さがあるそうです。
「毎日潜ってますよ」と、頭から水をしたたらせながら話す川崎さん。
品質チェックのために潜水は欠かせないそうです。

眺めていて気づくのは水車の多さ。
いずれも勢いよく回って水をかき混ぜています。
「水流を作り出して酸素を送り、水中の酸素濃度を高めています」とのこと。
ほかにも水質に気を配ったり、プランクトンの発生をうまくコントロールするなど様々な工夫があるそうですが、なかでももっともこだわるのがエサだといいます。
「国内でもトップクラスの高級なエサをあげています」と川崎場長。
ストレスフリーな環境の中でいいエサを食べて育った車えび。
おいしいのは当然かもしれません。

Text:吉田 直人
Photo:根原 奉也
(取材:2023年9月)
住所: 沖縄県宜野座村字宜野座1008
電話番号: 098- 968-4435
料金目安: ゴジラ天丼2,500円(税込)/ゴジラフライ定食2,500円(同)/ゴジラ刺身定食2,500円(同)
営業時間: 11:30~19:00(L.O.18:00)
定休日: 火曜・水曜
駐車場: あり
座席: 26席
喫煙: 禁煙

