はじめてこの店を訪れたとき、とても不思議な気持ちになったのを覚えています。
温かく陽だまりのような空間に、ゆったりとした雰囲気をまとい、ひとりで切り盛りするオーナーさん。
温かな雰囲気とは裏腹に、登場したお料理はなんだかとてもエネルギッシュで、この道ウン十年の熟練おばあちゃんが作ったような、しみじみとしたおいしさを感じたのです。
オーナーさんがとても綺麗な方だったので「この方はお孫さんで、裏におばあちゃんが潜んでいる?」とのぞき込んでみましたが、やっぱりお店にいるのはひとり。
ということはやっぱりこの方が作っているんだ!と驚いたのでした。
そんなMELLOW(メロウ)は、和食を中心とした創作料理を提供するお店。
沖縄食材を和風に調理したものや洋食が織り交ざった、唯一無二の創作料理です。
定番ではないけれど、ここでしか食べられないものが食べたい。
そんな沖縄旅をしたい上級者の方に、ぜひおすすめしたいお店です。
1.ひとりでものんびりと過ごせる、温かみのある空間

MELLOWがあるのは宜野湾市の住宅が並ぶ一角。
住宅街の温かさに溶け込むように佇み、知らなければ通り過ぎてしまいそうです。
店名のMELLOWは「ゆっくり」という意味。
名前のとおり、時間を気にせずゆっくりのんびり食事を楽しんで欲しいという想いが込められています。

その想いを反映するように、店内は木のぬくもりを感じる穏やかな空間。
明るい店内には、所々にパッと明るくかわいらしいお花や小物が飾られていて、お料理を待っている間も心地よい時間が流れます。

2.沖縄と和と洋の融合。大満足のハーフコース

メニューは3種類のお惣菜がのった前菜プレートと、その後にメインディッシュ、ごはん、サラダ、みそ汁、漬物が提供されるハーフコーススタイル。
和食を中心としつつ、洋食がアクセントのように混じり、やさしいけれど飽きのこない、満足度の高いコースです。

「私、和食を食べたら洋食が食べたくなるんです。逆もしかり。だから自分が作るごはんは、両方出すことにしました」とオーナーさんは軽やかに笑います。

和洋どちらも食べられる嬉しさしかり、所々に使用される沖縄食材は、いわゆる「定番」ではない調理方法を模索するため、地元のお客さんからは「この食材でこんな食べ方があったんだね」と驚かれることもあるのだとか。

食材は必ず自分の目で見て選ぶのもこだわりで、「この食材はここ」「あの食材はどこ」と、使いたいものによって買い付け先を変えています。
迷った末に「やっぱりあれが必要!」と、お店に引き返すこともあるのだとか。
3.小3の頃から料理人になりたかった。お店は料理への想いがあふれた集大成

これまでホテルやレストランで洋食からイタリアン、和食まであらゆる料理を修行してきたというオーナーさん。
地元である宜野湾でお店を出した理由を尋ねると「やりたい気持ちが限界だった」と話します。
聞くと小学校3年生の時に見た『料理の鉄人』の影響で料理人になりたいと思い、そこからブレずに料理一本でやってきたそう。
修業時代は、怒鳴られることも休みがないのも当たり前という絵に書いたような厳しい日々を過ごしました。

「厳しいのが私は楽しいんです。成長している実感があるから」と微笑むオーナーさん。
厳しさを求めるあまり、お店を出すのは早いんじゃないかという想いが長くあったそうですが、やりたい気持ちがついに溢れ、地元宜野湾に3年前にお店をオープン。
今も学びを続けながら、自分に厳しく料理を作り続けています。

柔らかさの奥に潜む料理への情熱。
これが最初に感じた、”熟練のおばあちゃんのような”貫禄の正体だったのかと納得です。
ひとつひとつの料理を丁寧に盛り付けながら、「おばあちゃんになって厨房で料理をしながらポテッと最後を迎えたい」と笑うオーナーさん。
その姿がリアルに想像できるほど、やっぱりその味は熟練のおばあちゃんが作ったオーラをまとったものでした。

Photo&text:三好 優実
(取材:2023年8月)
住所: 沖縄県宜野湾市佐真下54番地
電話番号: 080-6489-3386
料金目安: 1600円~
営業時間: 10:00~17:00
定休日: 日曜・月曜・祝日
駐車場: あり
店舗詳細URL: https://www.instagram.com/mellow.okinawa
