那覇市にある古都・首里は、沖縄を代表する観光地の一つでありながら、古くからの住宅地もあり、地元の人の暮らしに根付いた商店や飲食店も数多くあります。
「ななほし食堂」もその一つ。
毎日手作りされる豆腐を使ったおかずなど、素朴だけど味わい深い料理を求め、朝10時の開店を待たずに続々の常連さんが訪れる地域密着型の人気店です。
1.毎日お店で手作りされる島豆腐

ななほし食堂の名物は、手作りの島豆腐。
店主の上原さんが、毎朝丁寧に仕込んでいます。
首里近辺は水の豊かな土地柄、昔から豆腐作りが盛んでした。
しかし次第にその数は減り始め、今ではほとんど残っていません。
そんな状況だからこそ、「昔を懐かしむ方々からうちの豆腐は人気を集めているのかもしれませんね」と店主の上原さんは言います。

実は上原さんは、脱サラして豆腐作りを始めた異色の経歴の持ち主。
上原さんの奥様の実家が、やはり首里の人気食堂「あやぐ食堂」で、上原さんはお義父様から数年かけて豆腐の作り方を伝授されたそうです。
ちなみに、那覇にあるもう一つの大人気食堂「やんばる食堂」の店主も親戚だそうで、那覇の食堂文化を牽引する一家といっても過言ではないようです。

大きな木型に詰められた豆腐は水分を抜くためしばらく置かれ、数時間後にようやく完成。
完成品は料理で使われることはもちろん、店頭でも販売されます。
厚揚げは注文を受けてから揚げてくれるとのこと。
旅行中、ホテルの部屋でのお酒の肴にいかが?

お豆腐のおいしさをしっかり味わうなら、「ゆし豆腐定食(700円)」がおすすめ!
ゆし豆腐とは、成形される前のおぼろ豆腐のようなもので、プルプルとした食感が特徴です。

あちこーこー(あつあつ)のかつお出汁のスープとともにいただけば、じんわりとした旨味が口いっぱいに広がり、お腹もほかほかに。
お好みでお味噌汁にも変更OK。
おかずは「ポークたまご」か「チキンかつ」から選べます。
2.緑と清潔感に溢れ、女性や家族でも入りやすい

「食堂」と聞くと、少し古めかしい店構えを想像しませんか?料理はおいしいけど、店内は暗めだったり、女性には入りにくかったり。
しかしこちらの食堂は、そんな古式ゆかしい食堂とは一線を画します。
まず外観からして清潔感たっぷり!
手入れの行き届いた植物の緑も清々しく、赤瓦の屋根も風情があります。

店内は広く、テーブル席、カウンター席、2階には座敷も完備。
やはり観葉植物がそこかしこに飾られ、白と緑のコントラストが爽やかです。
店名にある「ほし」モチーフのオブジェが飾られているのもキュート。

こんな素敵な食堂なら、女性でもファミリーでも入りやすいですよね。
この清潔感も多くの人に愛される理由の一つなのでしょう。
朝10時からオープンしているので、少し遅めの朝食にもおすすめの「ななほし☆食堂」。
決して派手ではないけれど、ていねいに作られた沖縄の普通のおかずを、首里の風景ともに楽しんではいかがでしょう?
text:仲濱 淳
Photo:白木 裕紀子
(取材:2020年8月)
住所: 沖縄県那覇市首里鳥堀町1-45-2
電話番号: 098-917-1747
営業時間: 10:00~15:00
定休日: 木曜日・日曜日
駐車場: あり(2台のみ/近隣にコインPあり)
その他: 店舗での飲食は月~水。金・土は惣菜のみ販売。