海洋食堂

2022 10/07

2022年10月7日 2022年11月10日

沖縄県民の一人当たりの豆腐消費量は、かつて全国平均の2倍もあったといわれています。今は徐々に消費量は減ってきてしまっていますが、依然「島豆腐」といわれる沖縄独自の豆腐は、県民にとってなくてはならない食材です。この島豆腐を長きに渡って手作りし続けているのが「海洋食堂」。連日連夜、地元の人で混み合う大衆食堂は、とにかく豆腐料理が大人気。ローカルな佇まいも沖縄っぽさ満点！旅行中、一度は訪れたい名店です。

1.40年以上続く老舗の大衆食堂は、ローカル感たっぷり

那覇空港から車で約15分。「海洋食堂」は、那覇の隣、豊見城市にある大衆食堂です。昭和50年に、沖縄県の日本本土復帰記念事業として開催された「沖縄国際海洋博覧会」、通称「海洋博」の年に店を始めたことから、この名前が付いたといいます。

このレトロな店構えが、長い年月を感じさせます。

広々とした店内には、座敷のほかにテーブル席も完備。全部合わせれば40人ぐらい座れそうなほどの広さがありますが、昼時はあっという間に満席になるほど大混雑することもしばしば。そのほとんどが地元客ということからも、海洋食堂がどれほど愛されているかが伺えますね。

カレーライスやかつ丼など、ザ・定食屋のメニューも並びますが、絶対食べていただきたいメニューが、豆腐を使った料理。「ゆしどうふ」という沖縄版おぼろ豆腐や、「豆腐ンブサー」という豆腐の炒め煮のほか、ほとんどの料理に豆腐がたっぷり入っています。

2.手作り島豆腐料理は、おいしくてボリューム満点

なぜ豆腐を食べていただきたいかというと、店のすぐ隣の工場で作られた出来立ての自家製豆腐だから。主に調理を担当しているおかみさんのご主人が2代目で、毎朝早くから自ら豆腐を仕込んでいるのです。

実は海洋食堂は、元々豆腐屋でした。先代が開いた、那覇の公設市場の豆腐店が始まりです。しばらくして現在の豊見城市に移転し、豆腐屋兼食堂として再スタートを切ったそうです。今では豆腐は一般には販売せず、店で使う分だけを作っているとのことですが、余ったら売る場合もあるとか。

しかし厨房を見ていると、果たして豆腐が余ることはあるのか？と感じられるほど、ひっきりなしに注文が入ります。取材したのはランチタイムをとっくに過ぎた時間帯にもかからわず、お客さんが次から次へと訪れていました。どんどん豆腐が鍋やフライパンに投入されていきます。

豆腐のほわほわした匂いとお出汁の香りが店いっぱいに広がって、幸せな気分に。食欲をさらに刺激します。

3.どれも美味しそう！豆腐以外の名脇役たち

豆腐を手作りしているから、当然おからも自家製。甘辛く味付けされたおからは、どの定食にも小鉢として必ず添えられています。これだけを買いに来る人も多いとか。

厨房では、豆腐の隣のコンロで何やらおいしそうなものが調理されていました。こちらは豚の三枚肉（バラ肉）の煮付けで、さまざまなメニューにトッピングされていています。程よい柔らかさとこってり甘辛味が、あっさり味の豆腐のいいアクセントに。実は先代は、と畜のプロという顔も持っていたそうで、今でもその技術が生かされ、質のいい豚肉が作られ続けています。

4.特におすすめのメニューは「豆腐ンブサー」

海洋食堂の手作り豆腐を存分に味わうなら、「豆腐ンブサー」がおすすめ。ンブサーとは沖縄の言葉で「炒め煮」のこと。2丁は入っているかと思われる豆腐は、通常の島豆腐よりもずっと柔らかい口当たり。甘辛味の三枚肉と一緒に食べれば、意外と難なく食べ切れます。ニラもいいアクセントになって、ご飯にもよく合う逸品に。

こちらは「ゆし豆腐そば」。沖縄そばの上にはゆし豆腐がたっぷり乗り、やはり三枚肉の煮付けもトッピング。ふわふわとした食感のゆし豆腐と、優しい味わいのスープ、つるつるの沖縄そばは、文句なしに相性抜群です。卵を崩しながら食べても美味。そしてここでも、三枚肉の煮付けがいい仕事をしています。おから付きなのも海洋食堂ならでは。