備瀬のフクギ並木に抱かれた昔ながらの空間。
その中に古民家を利用した宿と地元産の食材にこだわるお食事処があります。
旅慣れた人々が集い、昔ながらの沖縄の空気感と自然を満喫するという、ひと味違ったリゾートライフが楽しめます。
1.やんばる(沖縄本島北部の通称)産の野菜や肉を中心としたコース料理を堪能
ちゃんや~は、宿が先にオープンしました。2006年のことです。
6部屋ほどになったのですが、人気が出たためリピーターが泊まれないことも多くなりました。
そこで「食事だけでも」というお客さんの要望に答えて、2007年にお食事処もオープンしました。
もちろん、宿泊のお客さんもこちらで食事ができます。
料理は基本的にコースで、「やんばる島豚あぐー」や「もとぶ牛」などのセットが中心となり、事前予約が必須。
その際、名前、メニュー、人数を伝えましょう。
単品メニューもありますが、コースに追加でオーダーする形になっています。
ちなみに単品のみの予約はできません。
料理のコンセプトは、肉、野菜、魚など米以外の食材は県産品、特にやんばる産にこだわること。
もずくやパパイヤなどは身内から提供を受けるほか、生産者の顔が見える食材を使うように心がけています。
さらに、無農薬または減農薬で栽培された野菜にもこだわり、沖縄県が定めた基準より低い農薬レベルの食材を使用しています。
さて、今回の取材で撮影したのは、「やんばる島豚あぐーしゃぶしゃぶセット」です。
まず、前菜。内容はもずく酢、ミミガー、海ぶどうの3種。連泊のお客さんの場合は日によって内容が変わります。
続いてチャンプルーが出ます。この日はソーミンチャンプルー(素麺と具材の炒め物)でした。
そしてメイン。
薄切りあぐー肉は見た目も美しく、それだけで食欲をそそります。
そして、驚くのは野菜の豊富さ。
ゴーヤー、葉野菜、パパイヤなど6種がたっぷりと盛られ、島豆腐も添えられています。
これらをシークヮーサーポン酢やゴマだれでいただくようになっています。
コースの前菜は、もずく酢とミミガー、海ぶどう。色合いも鮮やかですね。
この日のチャンプルーはソーミンチャンプルーです。
コースは沖縄らしさが前面に出てくる内容になっています。
メインの「やんばる島豚あぐー」のしゃぶしゃぶ。
脂身のおいしさが特徴のためか、脂身もたっぷりのカットになっています。
もうひとつ特徴的なのはワインにこだわっていること。
店主の喜屋武(きゃん)信さんはもともとホテルマンで、かつて同僚だったシニアソムリエのアドバイスで、国内ではなかなか口にできないワインを揃えていたそうです。
その後、もう少しポピュラーな品も取り入れるようになりました。
現在は、スタンダードの中から厳選した赤・白・スパークリングをラインナップしています。ちなみに、店内にワインセラーも備えています。
フランスはもちろん、イタリア、スペイン、南米、オーストラリアなど世界のワインをラインナップ。
ワインセラーで保管しています。
お食事処ちゃんや~は古民家を利用。庭にはテラス席もあります。
お食事処の店内ももちろん昔ながらの沖縄の家です。ここはもともと店主のひいおばあちゃんの家だったそうです。
2.旅慣れた「通」が古民家でゆったり
ちゃんや~は本部(もとぶ)町備瀬にありますが、備瀬といえば2万本にもおよぶフクギ並木で知られています。
お食事処だけでなく宿もフクギに囲まれた、古い沖縄の風情にあふれた環境の中にあります。
宿の建物は現在5棟6室あります。
一部新しく造った棟もありますが、元々あった古民家を再利用したものが中心。
なかには店主の生まれた家もあります。
そのため、まわりの環境だけでなく、泊まる建物も古い沖縄の風情が満喫できます。
客層としては、ハイクラスのリゾートホテルなどに飽きた人が多いと店主は話します。
観光地巡りやマリンレジャーなどをやり尽くし、すぐ近くにある沖縄美ら海水族館にも興味のない人が多いそうです。
つまり旅慣れた「通」な人たちが自然を感じながらゆったり過ごす、というケースが多いのです。したがって年齢はやや高めで30代から40代の夫婦やファミリーも多いといいます。
ちゃんや~のある備瀬といえばフクギ並木が有名。
樹齢300年を超える木もあるほど、昔の沖縄の風情を残しています。
門に鎮座するシーサーなどもまわりの空気感に馴染んでいて、雰囲気を盛り上げます。
3.昔の暮らしを味わいながら自然と親しむ
宿泊棟の例を見てみましょう。
まず6名まで泊まれる棟。
客室は4畳半、4畳半、3畳、3畳で、トイレ、シャワー室、それにキッチンも完備しています。
沖縄の古民家らしく、風呂場が外にあるのも特徴です。
もうひとつは9名まで泊まれる棟。
もともとは雨水を貯める水タンクを造る職人さんの家だったそうで、その名残なのでしょう、庭に水タンクがふたつあります。
まわりはフクギはもちろん、石垣にも囲まれ、さらに風情を際だたせています。
これらの宿泊施設は海も近いので、ビーチコーミングなどで楽しむ宿泊客も多いそうです。
客室もほぼ昔のまま。仏壇があったりして、往時の生活感が色濃く残っています。
こちらの棟には椅子やテーブルもあり、年配の方や外国人も過ごしやすそうです。
どの宿泊棟からも海まで歩いて1分とかかりません。リーフに囲まれた浅瀬を歩くだけでも楽しめます。
店主の喜屋武信さんは地元備瀬生まれの元ホテルマン。スタッフ10名ともにちゃんや~を運営しています。
こちらがお食事処の入口となります。近くに駐車場もあります。
text: 吉田 直人
Photo:根原 奉也
(取材:2020年8月)
4.【編集部追記】お食事処ちゃんや~は、2021年4月15日に近隣に移転しました!
詳しくは、下記にある施設のHPをご確認ください。
※本記事のMAPは移転後の店舗位置に変更済です。
住所: 沖縄県国頭郡本部町備瀬624
電話番号: 090-6862-4712
料金目安: 食事料金:3,600円~/宿泊料金:12,000円~(1泊2食付き)
営業時間: 11:30~14:00、17:00~22:00(お食事処)
定休日: 旧盆、旧正月(他に不定休あり)
駐車場: あり
座席: 36席(屋内)
喫煙: 全席禁煙(宿泊棟含む)
店舗詳細URL: http://www.chanyaa.com/