沖縄本島から、生活道路であり人気のドライブコースでもある海中道路を通って平安座島に入ったところで右折し、絶景の橋を渡った先に浜比嘉島があります。
古い漁村の佇まいを残す集落内に、フクギの大木や石垣に囲まれた築94年の古民家で営業する食堂があります。
その名も古民家食堂てぃーらぶい。
1.時間がゆったり流れるような空間を楽しむ
まるでおばぁの家を訪れるような気分で行ける、とても風情のあるお店です。
いにしえの情緒漂う島の住宅街を散策したり、拝所で手を合わせたりしながら訪ねるのもおすすめ。
浜比嘉島と古民家と琉球料理、それぞれの魅力が同時に味わえる食堂なのです。

店内はすべて畳の間。
30席ありますが、お客さんがいてもとても静かな空気感なのが不思議です。
防風林に囲まれていることも静けさの理由のようです。
台風の暴風から家をしっかり守っているだけあって、やさしく包まれているような感じがします。

角の席は二面の大きな窓から外が眺められます。
非常に落ち着けて、つい時間を忘れてしまうので、長居したい気分になってしまうでしょう。
2.そばも小鉢も独創性があふれている
料理ですが、今回いただいたのは「中味そば膳」です。

中味(豚もつ)汁と沖縄そばを合体させたメニューといっていいでしょう。

中味のダシがいっぱい出ていて、たまらないおいしさです。
これを味わうために浜比嘉島まで足を運んでも損はないと思います。

小鉢二品のうち、こちらはじーまーみー豆腐のてんぷら。
じーまーみー豆腐を油で揚げるという発想はウチナーンチュにもほとんどないと思われますが、これがなかなかイケます。

小鉢のもう一品は、大根シリシリーともずくのさっぱり和え。
よくかき混ぜていただきましょう。

デザートも付いています。
紅イモのナーントゥはやわらか系のおもちで、やさしい食感と上品な甘さがクセになりそうです。

店主の中山 直樹さん(右)とスタッフの弥衣さん。
「単にそばを食べるだけでなくまわりの雰囲気や古民家のおもむき、フクギや石垣が描き出す原風景などの付加価値も楽しんでほしいですね」と中山さん。
普通のそば屋さんは回転で稼ぐので、お店は滞在時間の短いお客さんを好むでしょう。
しかし、中山さんは逆に長い時間楽しんでほしいのだといいます。
「はるばる浜比嘉島まで来て単品のそばを食べるだけではお客さんがかわいそうだと思いますね。だから膳で出しています。内容は女性を意識していますよ」
雰囲気、味とも申し分のないお店です。
ドライブも楽しみながらぜひ一度訪れていただきたいと思います。

Text:吉田 直人
Photo:根原 奉也
(取材:2023年9月)
住所: 沖縄県うるま市勝連浜56
電話番号: 098-977-7688
料金目安: 中味そば膳1,430円(税込)
営業時間: 11:00~16:00(L.O.15:30)
定休日: 火曜、第1水曜、第3日曜
駐車場: あり(8台)
座席: 30席
喫煙: 禁煙(庭は喫煙可)

