人気観光スポットの古宇利島(こうりじま)へ行く途中にある屋我地島(やがじじま)。
車で通り過ぎてしまいがちな小さな島ですが、昔ながらの集落や畑が広がる素敵な場所です。
ちょっと寄り道して「古民家cafe 喜色 -Kiiro-」で古き良き沖縄に出会いに行きましょう。
1.築95年余りの古民家で沖縄の風情にふれる

隣の大宜味村(おおぎみそん)から、昭和8年に移築された古民家が趣のある佇まい。
梁や柱は昔のものをそのまま利用しているそうです。
時間の流れがゆるやかで、まるでおばあちゃんの家に遊びに来たかのような居心地のよさが感じられます。

目の前に、古い石垣や鮮やかな緑が広がる窓辺の席。
庭の植物や入り口に飾られたハイビスカスなどの季節の花は「ご近所の方が『よかったらお店に飾って』とたくさん持って来てくださいます」と笑顔で話す店主の喜納朱里(きなあかり)さん。
屋我地島のある名護市(なごし)出身で、念願だった地域に根付いた店をオープンしました。

縁側に転がるパイナップル。
マンゴーなどの南国のフルーツも近所の方が畑でとれたものをおすそ分けしてくれるそうです。
いただいた食材は提供する料理にも活かされています。

木の温もりあふれる広々とした半個室の座敷。
赤ちゃんがゴロンとできて小さな子ども連れの方にもおすすめです。
ママとパパも安心して食事しながらゆっくりくつろげます。

かわいらしくデコレーションされたおむつ替えスペースから、ベビーチェアまで用意された心配りもうれしい。
2島の恵みが詰まった心と体がよろこぶごはん

地元でとれた旬の食材に、愛情と手間ひまかけてつくられる「喜色御膳1,300円(税込)」。
喜納さんはお母さんから、お母さんはおばあちゃんから受け継いだ沖縄の家庭料理です。
どれも素朴で滋味溢れる、まさに喜納家の味。
厨房には喜納さんのご両親も立ち、添加物はもちろん調味料もなるべく使わず、小さな子どもも安心して食べられるよう心がけています。
旬の食材を使うため内容は時期によって変わりますが、屋我地島産の海ぶどうや、大宜味村産の切り干し大根の炒め物、県産パパイヤとひじきの佃煮、庭に自生するヨモギの天ぷらなど、いろいろな料理が少しずつ楽しめるのも魅力。

中でも人気なのが自家製ゆし豆腐。
口に入れた瞬間にぼろぼろと崩れ、溶けてしまうかのような不思議な食感は、おからを出さずに大豆を丸ごと使い、にがりの代わりに古宇利島沖の海水を使うという、昔ながらの製法から生まれています。
さっと素早く煮ることで、独特な香りの地釜豆腐と比べて食べやすく、豆腐が苦手という方にもぜひ試してほしい逸品。
「喜色御膳」には他にも、自家製豆腐のがんもどき、豆腐の肉巻き、おから豆腐とニガナの白和えが入っており、豆腐尽くしの御膳ともいえます。
3.自家製のハチミツを使ったおいしいスイーツ

屋我地島の養蜂家さんとの縁がつながって、喜納さんもお店の庭で養蜂を始め、そのハチミツを使ったスイーツが好評です。
「はちみつプリン350円(税込)」は砂糖の代わりにハチミツを使い、上にも生のハチミツがとろ~り。爽やかな甘さと華やかな香りに驚くはずです。
どこか懐かしいほっとする味わいの「はちみつれもん500円(税込)」。
国産または県産レモンの無農薬を選ぶようにしているので、レモンまで美味しく食べられます。
ヤギの絵柄がかわいいカップは、喜納さんの同級生の作家さんの作品です。

窓辺の席からも見られる喜納さんの養蜂箱。
年に2回とれるハチミツは、春は花々のフレッシュな香りにフルーティーな味わい。
冬は街路樹がメインの優しい香りに少し苦味が加わった味に仕上がるそう。
季節によって食べ比べるのも楽しみ方のひとつです。

店名の「喜色」は、喜納さんが県外に住んでいたときに友人から「喜びを納めるっていい名字だね」といわれたのが心に残っていたのと、笑顔がいっぱいに広がるという意味の「喜色満面」から名付けられました。
店名の通り、訪れた人が喜びの色で満たされる場所。
ただぼんやりと過ごすだけでも、おのずと心が癒されていくはずです。
Photo&text:金城 絵里子
(取材:2020年8月)
住所: 沖縄県名護市饒平名19
電話番号: 0980-52-8126
営業時間: 11時~19時(ラストオーダー18時)※売り切れ次第終了
定休日: 月曜日・火曜日
駐車場: あり
座席: 24席
喫煙: 全席禁煙
店舗詳細URL: https://www.facebook.com/kominnka.cafe.kiiro/?fref=ts