日本国内では沖縄のみでフランチャイズ展開しているファストフード店「A&W(エイアンドダブリュ)」。
沖縄県民の間では「エンダー」の愛称で親しまれているのをご存知の、沖縄好きやバーガー好きも少なくないと思います。
戦後のアメリカ文化の影響を今も色濃く残すA&Wは、沖縄観光でも大人気のB級グルメスポット。
A&W初心者のために、イチオシメニューからお店の楽しみ方、その歴史まで『これを読めばあなたもちょっとしたA&W通』と題して、旅のつれづれに語れるエンダーうんちくをお届けしましょう。
※この記事は2019年12月現在の情報にもとづいたものです。
1.食べごたえ充分な「オールアメリカンフード」。まずは攻めたい「A&Wバーガー」
今回やってきたのは「A&W 牧港店」。
那覇空港から国道58号を北上する途中、浦添市牧港(うらそえしまきみなと)の高架橋からこのインパクト大な看板を目にしたことがある方もいるのではないでしょうか。
ネオン装飾を施したレトロなイラスト看板といい、青空に映えるカラフルな外観といい、アメリカンカルチャー好きの萌え心をくすぐるに違いないこの佇まい。
そう、A&Wはその雰囲気ごと味わってほしいファストフード店なのです。
牧港店の店内はこんな感じ。
アメリカンダイナー風のシート席やボックス席があったり、味わい深い木製の返却カウンターがあったりと、インテリアもレトロアメリカン調。
おじーやおばー、ビジネスパーソンからバックパッカーまで、客層が幅広いのも沖縄のファストフード店あるあるです。
店内での注文は一般的なファストフード店と同様に注文カウンターで。
メニューの受け取りも基本的にこちらのカウンターで行うシステムです。
「ALL AMERICAN FOOD」とうたっているだけに食べごたえアリなメニューが多いのがA&Wの特徴。
バーガー、サンドウィッチ、ホットドッグ、プレートやスイーツまで、定番メニューだけでもかなりの数があります。
その時々で期間限定メニューも登場するので迷ってしまう人もいるかもしれませんね…。
そんな方にまず攻めていただきたいのが定番中の定番、店名を冠した「The A&Wバーガー」です。
バーガーやサンドなどの単品に、お得な価格でプラスできるサイドメニューやドリンクのチョイスも豊富ですよ。
「The A&Wバーガー」の見目うるわしい姿に迫ってみました。
上から順にバンズ+レタス+オニオンリング+トマト+クリームチーズ+黒糖ペッパーポーク+ビーフパティ+バンズ。
本来主役であるはずのパティの存在感が若干薄れているこの絵面で、そのゴージャス感が伝われば幸いです。
自社工場で毎日製造するバンズは余計な添加物を使用しておらず、パティもオリジナルのビーフ100%。
具沢山なうえに全体のバランスが絶妙なのが人気の秘密だそうです。
通常のコンボ料金に50円プラスして、サイドメニューを「カーリーフライ(S)」にグレードアップしてみました。
クルっとした形がかわいいポテトフライは、アメリカ・カナダ産のジャガイモを使ったA&Wオリジナルレシピ。
独特の香ばしさとサクっ&ほくッな食感が楽しめます。
この「The A&Wバーガー+カーリーフライ(S)+オレンジ(R)」コンボのイートインで、税込1200円ほど。
ボリューミィなバーガーは単品300〜400円代からラインアップ。
コンボでも700〜800円代のメニューが平均的です。
2.オールドアメリカンムード漂うドライブイン。ムービースター気分で車からオーダー
ざっくりとメニューを紹介しましたが、A&Wのお楽しみはまだまだこれから。
現在、沖縄県内に28店舗を展開するA&Wには、牧港店を含め「ドライブイン」で注文できる店舗が5店舗あります。
日本のファストフード店定番の「ドライブスルー」とは違いますよ。
アメリカが発祥とされる「ドライブイン」レストランは、車に乗ったまま注文&その場で飲食ができる施設のこと。
ドライブインがあるA&Wの店舗には、このようにスペースごとにメニュー表とインターホンが設けてある駐車場があります。
インターホンでオーダーして車内で待つことしばし。
スタッフの方がクルマまで注文した品を届けてくれるので、料金をお支払い。
そのまま車内で食べてもテイクアウトしてもOKです。
50〜60年代のアメリカのロードムービーの中にタイムトリップしたような感覚に、ワクワクする方もいらっしゃるでしょう。
ちなみにA&Wにはモーニングメニューも。
また、牧港店を含め24時間営業店が沖縄本島に4店舗あるので、早朝や深夜移動の際の食事や休憩にも便利ですよ。
3.フランチャイズチェーンの歴史はA&Wのルートビアから始まった!?
さて、ご紹介が遅くなりましたが、A&Wの歴史を語るうえで決して忘れてはならないのが、この「ルートビア」の存在。
ビアといってもアルコールは含まれていません。
アメリカの禁酒法時代に親しまれたのがその名の由来だといわれています。
A&Wのルートビアは約14種類のハーブを原料としたオリジナル。
独特のハーブの香りがクセになる名物ドリンクで、もちろんコンボのドリンクチョイスにも含まれていますよ。
(写真提供/エイアンドダブリュ沖縄株式会社)
A&Wが産声をあげたのは1919年。
アメリカはカリフォルニア州ロディにロイ・アレン(Roy Allen)氏がルートビアスタンドを開店したのがその始まりです。
アレン氏は従業員だったフランク・ライト(Frank Wright)氏と組んでテキサス州ヒューストンに新たに3店舗をオープン。
そして、ルートビアにお互いの名字の頭文字をとって「A&W」と名づけました。
この時には遠く沖縄でその名が親しまれる日がくるなんて想像もしていなかったでしょうね。
その後、アレン氏はA&Wドライブインなどを開店する権利をビジネス化。
これが現在、世界中で見られるフランチャイズビジネスの始まりだったというから驚きではないですか。
当時の自動車普及の波にのって、1950年までにA&Wドライブインは全米に450店を展開するまでに。
米国のA&W社は次第にグァムやマレーシア、フィリピンなどにビジネスを広げていきました。
オープン当初のA&W 屋宜原店(写真提供/エイアンドダブリュ沖縄株式会社)
沖縄にA&Wが誕生したのは日本本土復帰前の1963年のこと。
フィリピンを経て沖縄にやってきたアダムス氏とバーンズ氏という2人の米国人が、米軍の嘉手納(かでな)基地近くに屋宜原(やぎばる)店を開設したのです。
日本復帰前のできごととはいえ、実はこの屋宜原店が事実上、日本で初めてのファストフードレストランなんだとか!!
ハンバーガーという食べ物もドライブインというスタイルも、その頃の沖縄の人にとっては珍しいもの。
当時は米軍基地内にもファストフード店がなかったため、屋宜原店は大盛況だったといいます。
オープン当初のA&W 牧港店(写真提供/エイアンドダブリュ沖縄株式会社)
屋宜原店の建築を請け負ったのが、建築会社の工事担当としてラオスで米軍とビジネスをしていた、現エイアンドダブリュ沖縄株式会社会長の平良幸雄氏です。
屋宜原店での実績が認められた平良氏は、2号店の牧港店開設に向けて1968年に、アダムス氏&バーンズ氏の共同経営者となりました。
その後、両氏が帰国するにあたり平良氏が経営権を継承。
復帰直後の1973年12月に現在の「エイアンドダブリュ沖縄株式会社」を設立し、A&W米国本社と正式にフランチャイズ契約を結びました。
屋宜原店のオープンから現在に至るまで、50年以上に及ぶ「A&W 沖縄」の歴史はこうして始まったのです。
ちなみにこちらは現在のA&W 屋宜原店の様子。
屋宜原店・牧港店ともに当時と同じ場所で現在も営業を続けているんですよ。
4.ルートビアは全店毎日おかわり無料、店舗ごとの楽しみ方もあれこれ
さて、1軒のルートビアスタンドから始まった100年以上にわたる壮大な『A&Wヒストリー』、楽しんでいただけたでしょうか。
沖縄県内のA&Wでは全店、ルートビアのおかわりが毎日無料なので、心ゆくまでルートビアを堪能しつつ、古き良き時代のアメリカに思いを馳せてみるのもよいのではないでしょうか。
ちなみに牧港店では、カウンターにあるレトロなサーバーで自分でリフィル(おかわり)することもできるんですよ。
さらにアウトドアで飲食ができるテーブル席や遊具もあるので、休日などに子連れで利用する人が多いのも牧港店の特徴です。
そのほか宮古空港店ではなんと、沖縄(世界?)のA&Wで唯一、沖縄そば(宮古そば)やオリオン生ビールを提供しているんですよ。
店舗ごとのインテリアもさまざまなので、機会あるごとに沖縄各地の店舗を訪れてみるのも楽しいのではないかと思います。
毎週火曜にサービスメニューがもらえる「ラッキーチューズデー」や期間限定メニューもねらい目。
マグカップやTシャツなどのオリジナルグッズもセンス抜群なので、公式サイトで合わせてチェックしてみてくださいね。
Photo&text:藤井 千加
(取材:2019年11月)
住所: 沖縄県浦添市牧港4-9-1
電話番号: 098-876-6081
料金目安: ドリンク180円〜、サイド200円〜、バーガー300円〜
営業時間: 24時間
定休日: 年中無休
駐車場: 52台
座席: 84席
喫煙: 24時間全席禁煙・喫煙所あり
その他: テイクアウト・店内飲食可。沖縄県内に全28店舗(離島含む)。営業時間やモーニングの提供時間などの詳細は公式サイトでご確認ください。
店舗詳細URL: https://www.awok.co.jp/