沖縄本島の南に位置する八重瀬町(やえせちょう)は、南北に国道507号線が縦断しています。
その国道より少し入った閑静な場所に、沖縄らしい佇まいで人気の沖縄そば屋さん「屋宜家(やぎや)」があります。
赤瓦の上からシーサーがお出迎えする、ノスタルジック溢れる沖縄空間にタイムトリップしてみましょう。
1.古き良き沖縄の佇まいを残す古民家

「屋宜家」の母屋は木造平屋建て赤瓦ぶきで、一番座、二番座、三番座、裏座、台所からなる沖縄家屋の伝統的な造りをしています。
現在ではあまり目にすることが少なくなった、純沖縄建築様式の古民家でゆったり食事が楽しめるとあって、店は連日大盛況。
「おばぁの家みたいで落ち着く」という地元客はもちろん、県外や海外からの観光客にも人気のスポットになりました。

30名がくつげる母屋に加え、アサギと呼ばれる離れは大人20名まで(予約制)収容可能。
ランチミーティングや模合など、ふだんとは違った雰囲気で食事が楽しめると好評です。

目隠しの役割を備えていた母屋前面のヒンプンや井戸など、昔ながらの琉球建築様式古民家で、2009年に文化庁より登録有形文化財に指定された貴重な建造物(総敷地面積は360坪)でもあります。
2.手作り&オリジナリティーにこだわった沖縄そばと料理

落ち着いた雰囲気の中で楽しめるのは、沖縄の食材を盛り込んだ料理の数々。
沖縄そばを筆頭に、ジューシー(沖縄風炊き込みご飯)やジーマミー(落花生)豆腐、もずくなどが小鉢で一緒に味わえる「アーサそばセット」は、あれこれ味わえてお得。※アーサとは沖縄料理にかかせない海藻「ヒトエグサ」
メインのアーサそばは、麺の中にアーサを練り込んでいるのが特徴。
つるっとした口当たりと喉越しが新鮮で、やみつきになってしまう美味しさです。
素材の味を活かした優しいダシにアーサと三枚肉のトッピングも添え、最後の一口まで飽きることなくいただけます。
その他「ゆし豆腐アーサそば」なども是非ご賞味を。

黒糖のおいしさが際立つ「黒蜜きな粉黒糖ぜんざい」など、食後のお楽しみのデザートが充実しているのも嬉しいです。
ちなみに沖縄でぜんざいと言えば、甘く煮た金時豆と白玉の上に氷を乗せた、かき氷スタイルが一般的。
3.料理のおいしさを際立たせる「やちむん」

「やちむん」とは、沖縄の方言で「焼き物」のこと。
絵付けの鮮やかさと躍動感あふれる紋様に、沖縄の青い海を彷彿とさせるコバルトブルーや南国の植物を思わせる緑などの色使いが特徴的です。
ぽってりとした厚みのある形で「マカイ」と呼ばれる椀は、沖縄そばを食べる習慣がある沖縄では特に人気の器です。
「屋宜家」の台所には、店主の屋宜さん自らが読谷などで調達してきた、様々な表情のやちむん達が、その出番を待ってスタンバイしています。
作品はひとつひとつが手作りのため、形も色みも多少異なってくるもの。
今日も料理をさらにおいしく感じさせてくれる名脇役になっていることでしょう。

明るく元気なスタッフがおもてなし!
兼島さん(左)と糸数さん(右)のお二人が、皆さんのお越しをお待ちしております。
南部エリアは数々の観光名所が点在しています。
八重瀬町は空港からも比較的アクセスしやすいエリアなので、沖縄観光の初日や最終日のスポットとしておすすめです。
「屋宜家」はそのルートの途中に一休みするには最適な空間。
沖縄の食と文化を思う存分楽しんでくださいね。
text:久田 道子
Photo:前新 直人
(取材:2020年3月)
住所: 沖縄県島尻郡八重瀬町字大頓1172
電話番号: 098-998-2774
営業時間: 11:00~16:00
定休日: 火曜日
駐車場: あり
座席: 50席(テラス席10席含む)
喫煙: 店内禁煙 喫煙席なし

