戦後、沖縄県がまだ米軍統治下にあったころ、沖縄本島中部にある宜野湾市(ぎのわんし)普天間(ふてんま)に、「プッシー キャッツ ドライブイン レストラン」という、アメリカンスタイルのコーヒーショップが誕生します。
このコーヒーショップは、ホームシックを抱えながら沖縄で暮らすアメリカ軍人たちの、癒しの場にもなっていました。
やがて店は、「鉄板焼きステーキハウス サムズアンカーイン」となります。
そしてサムズグループは、沖縄でレストランチェーンとして発展を遂げていきます。
今回はそのひとつ、今から約50年前にオープンした「サムズバイザシー泡瀬店」にうかがってみました。
1.海や船をテーマとしたエクステリアやインテリアが心地よい

沖縄市泡瀬(あわせ)の海に面した一角、ヨットハーバーの隣の広い敷地内にお店はあります。
駐車場も兼ねた庭には砂利が敷かれていて、歩くと音がします。
実はこれ、海から上がってきて、浜辺の貝殻を踏んで歩くシーンをイメージしているからだといいます。

店内は、外国航路の船内にいるような雰囲気で、非日常感が楽しめます。
客層としては約半分が外国人だそうで、それも含めてエキゾチックな空気感のなかで食事ができます。
ちなみに外国人のお客さんはペイデイ後が多いそうです。ペイデイとはつまり給料日ですね。
高級感もたっぷりなので、特別な日の食事に利用する人も多いそうです。

窓も、まるで船窓のような形。
昼間はそこから海の景色が、夜は夜景が楽しめます。
デートにも絶好のロマンチックなシチュエーションといえるでしょう。
2.目でも舌でもおいしい山海のごちそう

さっそく自慢のステーキを焼いてもらいます。
お肉はオーストラリア産リブロース。
実はオーストラリアは、このところコロナ禍の上に洪水などの自然災害も多く、牛肉の生産量が減っているそうです。
そのため肉の値段は上がっているのですが、サムズでは伝統ある炭火焼きステーキの店として牛肉の質にこだわりながらも、できるだけリーズナブルな価格で提供できるように努力しています。

調理を担当するのは、サムズでステーキを焼いて35年以上という超ベテランの新垣武紀さんです。

焼き上がりました。「サムズチョイス最上質リブロースステーキ」です。
柔らかく、うまみの強い最上級リブロースを炭火焼にしています。
スープ、サラダ、パンorライスも付いて、コースとして提供されます。

「舌平目と車海老のフライチーズ詰め仕立てマンゴーチリソース」。
舌平目と車エビを3種のチーズで包み込んでフライにし、マンゴーチリソースとバルサミコソースを添えた、ぜいたくな品です。
パンはこのお店のオリジナルで、パイナップルバターをつけて食べると、普段と違う味わいを満喫できます。

こちらは単品オーダーの前菜「丸ごとカマンベールの海の幸アヒージョ」で、期間限定メニューとなります。
かたまりのカマンベールチーズを中心にエビ、ホタテ、ムール貝、マッシュルーム、トマト、パプリカを配し、オリーブオイルで煮込んでいます。
なお、「舌平目と車海老のフライチーズ詰め仕立てマンゴーチリソース」と「丸ごとカマンベールの海の幸アヒージョ」は、2021年5月31日までのメニューとなります。

サムズといえば、沖縄ではステーキのイメージが強いのですが、「海と山の組み合わせ」もテーマとしており、山海のおいしいものをゆったりと堪能できます。
3.料理以外にも楽しめるディテールがいっぱい
せっかくサムズまで来たら、料理やロケーションとともにお店のディテールまで楽しんでください。
そのヒントを紹介します。

エントランス脇には金色に輝くカメハメハ大王像が。
ハワイ王国を建国し、初代国王となった人物です。

エントランスを入ると、オウムのセーラちゃんが迎えてくれます。

店内にディスプレイされたアメリカ海軍のダイビングヘルメット。
いつごろ作られたものかは定かではありませんが、かなりのヴィンテージ感を醸し出しています。

壁に飾られた数多くの写真は、戦後沖縄で映画撮影が行われた時のショットです。
現在では、沖縄での映画やテレビ番組のロケは一般的になっていますが、当時はとても珍しかったそうです。
和服姿もあでやかな美しい女優さんも写っていて、じっくり見るとこれだけでかなり楽しめます。

神秘的な雰囲気を漂わせるお面は、前オーナーの息子さんがパプアニューギニアで手に入れて沖縄に持ってきたといいます。
かなり貴重な品だそうで、とてもかっこよく、思わず見とれてしまいます。

広いシーサイドテラス席もあって、潮風を感じたり、夜景を堪能したりしながらおいしい食事が味わえます。
ほかにも店内では天井に本物のハーリー船が飾られていたり、船の舵輪がディスプレイされていたりして、船好き海好きの目も楽しませてくれそうです。
また、店内にバーを備えているのもこのお店の特徴。
食後に利用するお客さんも多く、お酒の種類はもちろん、カクテルのバリエーションも豊富です。

ハワイでは神様を表現するために彫られるという巨大なティキ像がお店の目印になっています。
この時点で、すでに非日常的な気分が味わえますね。
駐車場が広いので、ドライブ中のお食事にもおすすめ。
また、サムズバイザシーには那覇店もあり、那覇空港に近いのでこちらも便利に利用できます。
サムズバイザシー那覇店
住所:那覇市具志3-25-5
text:吉田 直人
Photo:根原 奉也
(取材:2021年4月)
住所: 沖縄県沖縄市泡瀬1-41-15
電話番号: 098-937-3421
料金目安: 2,500円~
営業時間: 11:30~15:00/16:00~20:00
定休日: なし
駐車場: あり
座席: 180席
喫煙: 全席禁煙
その他: ※コロナ禍のため、当面は営業時間や休業日、席数、店内飲食の可否などに変更の可能性がありますので、来店の際には事前の確認をおすすめします。
店舗詳細URL: http://www.sams-okinawa.jp/by_the_sea/index.html
