県民のおやつとして愛されている「沖縄天ぷら」。
アツアツはもちろん冷めても美味しく食べることができるので、ドライブや海辺で食べるおやつとして、観光で訪れる方にも是非食べて欲しい沖縄グルメです。
今回は、そんな沖縄の定番グルメ「沖縄天ぷら」を販売する、老舗「上間弁当天ぷら店」をご紹介!
先代から伝わる上間天ぷらの魅力や歴史、沖縄天ぷらのローカルな食べ方、社長の想いについて取材を行いました。
1.沖縄県民に愛されるおすすめのローカルグルメ「上間弁当天ぷら店」とは

上間天ぷらは、40年以上前からスタートした老舗沖縄天ぷら店。
平成14年にのれん分けという形でスタートしたのがここ「上間弁当天ぷら店」です。
創業当時から受け継がれる「人々の生活に寄り添った商売」をコンセプトに掲げ、その名の通り地元民に愛される沖縄天ぷら店として、毎日お客さんで溢れる人気店です。

店内に入ると、どこからも沖縄の光が差し込む温かみのある空間の中、弁当やいなり寿司、沖縄天ぷらなど豊富なメニューが並べられています。
お昼時になると、この空間が人でいっぱいになるほど人気のお店。

レジ横のカウンターには、「もずく」や「さかな」、「かぼちゃ」など、種類豊富な沖縄てんぷらがずらり。
食後のおやつにぴったりな「サータアンダギー」も販売されており、トングで好みの品を選び、袋に入れてレジでお会計するシステム。
沖縄天ぷらの一番人気は「さかな天ぷら」。もちもちの生地の中に、鮮度の高いふわふわの白身魚が包まれており、ほっこり優しい味わいになっています。
ナンバー2は「イカ天ぷら」、ナンバー3は「野菜天ぷら」で、それぞれ税込み100円以下のリーズナブルな価格なので、全種類制覇してみては。(筆者はイカ天ぷらが一番好きです。)
持ち帰りで購入する人が多いですが、店内から外に出ると食事スペースもあるので、こちらで食べていくのもおすすめ。
常連さんに紛れてのランチタイムは、沖縄県民気分を楽しむこともできますよ。

また、お店に並ぶお弁当も沖縄県民のランチタイムを支えています。
リーズナブルな価格とボリュームたっぷり・具だくさんのお弁当、豊富なバリエーションを見ると、毎日日替わりで購入したくなります。

お弁当の人気メニューは「ミニDX弁当ささみ」「油淋鶏弁当」「チキン南蛮弁当」。
いずれも税込み400円以内なので、こちらもリーズナブルに沖縄のお弁当を堪能できます。
旅行最終日であれば飛行機の中で味わうのもアリ!
公園やビーチで沖縄の景色を眺めながら食べるのも観光ならではの楽しみ方ですね。
2.「家族が働く場」がなくなるのが嫌だった。先代から引き継いだ上間喜壽 社長の想い

(上間社長の仕事部屋には、店を継いだ当初から購入し始めたという本がずらり・・)
東京で大学卒業後、祖父から代々引き継がれた上間天ぷらの経営を行う上間 喜壽社長。
先代である祖父母は、元々は石垣島の漁師。沖縄本島でも刺身店をやろう!ということで最初は刺身店からオープンしたのだと言います。
上間社長「沖縄のあるあるなんですけど、刺身店をやっているときに売れ残った刺身がもったいないからという理由で、沖縄天ぷらの販売がスタートしました。僕にとって昔からお店は『家族が一緒に働く場所』だったので、継ぐことに抵抗はありませんでした。」

大学を卒業後、沖縄に戻り上間天ぷら店を継ぐ準備を始めた矢先、これまでのずさんな経営により突然2億の負債を抱えてしまったのだそう。
それでも上間社長は「家族が一緒に働く場所がなくなることが嫌だった」という想いから、あらゆる経営の本を読み漁り、トライ&エラーを繰り返しながら建て直しに成功したのだと言います。
― だからこんなに難しそうな本が大量にあるんですね・・!
上間社長「当時はとにかく必死でした。けれど逆に、負債額が大きすぎて何をやっても良い状態だったのは今思えばプラスでしたね。僕は挑戦が好きなので、とにかく本を読んだり人と会ったりして、感じたことや生まれたアイディアは即実行して色んなことを変えました。今も毎週何かを変えています(笑)」
引き継いだ当初はノート一冊で管理していた経営から、パソコンを用いたデータ管理に変更。
そこから新サービスとしてケータリング事業の展開や、沖縄ファミリーマートのイートインコーナーへの販売交渉を成功させたりと、数々の革命を起こし、経営をV字回復させた上間社長。
現在は「食を通して沖縄の文化を守り、伝え、発展させていく」という経営理念を掲げ、今もなお多方面から沖縄文化を伝える取り組みを行っているそうです。
3.代々受け継ぐ変わらない美味しさ

先代が残したレシピを忠実に再現し、常に沖縄県民が笑顔になる天ぷらを提供する「上間弁当天ぷら店」。
数々の革命を起こした上間社長も、製法や味に関しては手を付けなかったと話します。
上間社長「色々試してみたんですが、結局最終的にはいつも、先代のレシピに着地するんです。」
ひとつめのこだわりは、沖縄天ぷらの温度管理。
上間弁当天ぷら店では、食材によって温度を変えているのだそう。
それぞれの食材の味が引き立つ温度をそれぞれ管理し、最後に高温で揚げることで、食材の鮮度を損ねることなく、外側はパリッと、中はもちもちの沖縄天ぷらが完成するのだそうです。

また、味付けには秘伝のレシピを使用。先代から受け継がれたタネでしっかりと味付けを行ってます。

そうしてつくられた沖縄天ぷらは、老若男女に大好評。お客が求める「変わらないで欲しい」と、時代が求める「変わらなければいけない」を見極め、続けることも変えることも惜しまない上間社長の考えにより、ブランドは次世代まで引き継がれていくのだと感じました。
4.観光だからこそローカルグルメを体験して欲しい!沖縄天ぷらの楽しみ方

最後に、上間社長は「地元に根付いてきた僕たち沖縄天ぷら屋にとって、観光はテーマなんです」と話します。
上間社長「沖縄県民にとって『沖縄天ぷら』はおやつです。そこは、県外の『天ぷら』とは少し違っていて、例えば関西でいう『たこ焼き』のような立ち位置なんですよ。県外の方は“蕎麦と沖縄そば”は違うと認識していて、沖縄に来たからこそ“沖縄そば”を食べる方は多いと思いますが、“沖縄天ぷら”を観光グルメと認識している方はまだ少ない。だから最近は『沖縄天ぷらを“天ぷら”と呼ぶのはやめよう』という決めごとをしたんです。沖縄天ぷらは県民にとってB級グルメ。沖縄に旅行で訪れたからこそ、観光グルメとして沖縄天ぷらを楽しんで欲しいと思っています。」
県外の「天ぷら」は塩や麺つゆをかけて、ご飯や蕎麦、うどんにあわせて食べることが多い中、沖縄天ぷらは沖縄県民にとっては独立したおやつなのです。
例えばウスターソースやマヨネーズ、一味などをかけて食べたり、差し入れ用に50個くらいまとめて購入したり、オードブルとして注文して、家族や親戚と一緒に楽しむなど、県外の「天ぷら」とは違った楽しみ方をします。
そんなローカルな食べ方にも是非チャレンジして欲しい、そしてB級グルメである沖縄天ぷらを是非好きになって欲しいと上間社長は話しました。

実は、筆者も沖縄に移住して間もなくの頃、沖縄に住む方に「沖縄天ぷらはおやつだ」ということを教えてもらい、沖縄天ぷらを買い込んで海を眺めながら味わいました。
揚げたてはもちろん冷めても美味しい沖縄のおやつ「沖縄天ぷら」。お気に入りの海を眺めながら、沖縄天ぷらを味わってみてはいかがでしょう。
Photo&text:三好 優実
(取材:2019年9月)
5.【2021年4月2日】編集部追記
◆新社長に上間園子さんが就任◆
上間弁当てんぷら店の運営元、上間フードアンドライフの副社長 上間園子さんが社長に昇格され、本編で登場する現社長の上間 喜壽さんは会長に就任されました。
住所: 沖縄県沖縄市登川3‐23‐20
電話番号: 098‐937‐9477
料金目安: 50円~
営業時間: 【月~土】5:00~20:00 【日・祝日】5:00~19:00
定休日: 年中無休
駐車場: あり
その他: ※今回取材した店舗のほか、上間弁当天ぷら店は沖縄県内に6店舗あります。詳細は公式サイトをご確認ください。
店舗詳細URL: https://uemabento.com/
