沖縄県・那覇市首里最古の酒造所、「瑞穂酒造」。
老舗でありながらチャレンジ精神を持ち続け、八つの離島の黒糖を使った島ラムを開発・販売しています。
沖縄ならではのラムや、高い技術力で作られ県民にも広く愛される瑞穂酒造の泡盛、その魅力に迫ります。
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1.沖縄のラムを世界へ
沖縄のお酒といえば泡盛(あわもり)。
泡盛は、米を原料として、黒麹菌を使って作る蒸留酒です。
沖縄では琉球王朝時代から飲まれているといわれています。
2022年9月現在、沖縄にはなんと46もの酒造所があります。
そのうちの一つ、那覇市首里にある「瑞穂酒造(みずほしゅぞう)」株式会社(以下、瑞穂酒造)が、今注目を集めています。
その理由は、瑞穂酒造が手掛ける、沖縄県産黒糖で作るラム!
しかも、沖縄の離島それぞれの黒糖を使った、その島だけの特別なラムなんです。
でも、なぜ泡盛酒蔵がラムを作っているのでしょう? お話をうかがってきました。

瑞穂酒造の本社があるのは那覇市首里末吉町。
沖縄都市モノレールの市立病院駅からすぐの場所です。
かつては工場見学も受け入れていたのですが、今はお休み中。
現在は敷地内に入って右手にある事務所1階で泡盛販売のみ行っています。
お話をうかがったのは、営業企画部の玉那覇 三貴さん。
-本当にこちらでラムをお造りになっているんですか?
「はい。私たち瑞穂酒造は、2020年11月、沖縄の伝統的農作物であるさとうきびを主原料にラムを造るプロジェクトチーム『ONERUM(ワンラム)』を立ち上げ、離島8島の黒糖を使ったラムを開発・販売しています」
離島8島とは、製糖工場がある粟国島、伊江島、伊平屋島、西表島、小浜島、多良間島、波照間島、与那国島のこと。
「ONERUM」プロジェクトチームでは瑞穂酒造を中心に、生産農家や大学等研究機関、開発アドバイザーとしてバーテンダーの方などが一緒になって、ラムの開発に取り組んでいるそう。
「きっかけは以前にジンを作ったことです。そのときは世界的なクラフトジンブームを受けて、沖縄県産素材を使って沖縄らしいものが作れないかと試しました。日本一早い桜まつりで有名な本部町の桜からとった酵母を使ったジンは世界的なコンクールで賞をいただくなど、好評でした。それからも泡盛のいろいろな可能性を探っていたところ、沖縄にはたくさんのさとうきびがあることに気づいたんです」

沖縄の素材にこだわった瑞穂酒造の「JAPANESE CRAFT GIN ORI-GiN1848」シリーズ。
事務所でのみ販売している希少なものも。
ジンを作ったことで瑞穂酒造の蒸留技術の高さが知れ渡り、いろいろなところから商品開発のオファーがきていたと話す玉那覇さん。
確かな技術力と協力者たちの知見、そしてチーム全員の熱意があわさって、「ONERUM」のラム酒が誕生しました。

「ご存じですか? 沖縄のさとうきびって、400年の歴史があるんですよ。島ごとに風土も生産方法も違いますから、そこで作られる黒糖もそれぞれの島の味がします。社長やプロジェクトメンバーは全部の島を回り、自分たちの目で島の特徴を一つ一つ確かめました。とても大変だったようですが、その甲斐あって、メンバーみんなが納得いく仕上がりになりました」
これまで発売した5種のラム酒はほとんど完売。
これから発売予定のものは、那覇市内二か所の販売店とオンラインショップ、そして瑞穂酒造の事務所で購入可能です。
味だけでなく、ラベルデザインでも島を感じてほしいと、島ごとにモチーフを変えてこだわっているそうなので、ぜひそこにも注目してください。

2.瑞穂酒造の歴史は琉球王朝時代から
高い醸造技術でラムやジンを製造販売し、チャレンジ精神を持ち続ける瑞穂酒造ですが、来年で創業175年を迎える、老舗中の老舗酒造所です。
瑞穂酒造が酒造りを始めたのは1848年、当時はまだ琉球王府が治める時代で、泡盛は貴重な酒として、首里三箇(しゅりさんか)という、王府の命を受けて泡盛の製造を許可された地域(現在の鳥堀、崎山、赤田の3町)でのみ造ることを許されていたそう。
瑞穂酒造は、その首里三箇のひとつである鳥堀町(とりほりちょう)で創業した、現存する首里最古の蔵です。


3年以上貯蔵したものは古酒(クース)と呼ばれますが、瑞穂酒造ではたくさんの泡盛が熟成されています。
瑞穂酒造では「古酒は沖縄の宝もの」という先人の教えを忠実に守り、琉球王国の伝統文化を今に伝えています。
古くから伝わる、原酒を継ぎ足しながら造る手法で熟成させる古酒の味は瑞穂酒造ならでは。
地下タンクや樽熟成など、さまざまな場所で熟成させています。
昔、泡盛は各家庭で古酒に育てるものでしたが、それをいち早く製品化し、市場に広めた古酒のパイオニア的存在が瑞穂酒造なのです。

「当時は高い度数から下は30度までの泡盛が主流の時代でしたので、25度を売り出す前、先代から売れないだろうと言われたらしいです。」と玉那覇さん。
ところが、予想に反して飲みやすいと大好評で、ほかの酒造所でも次々と販売。
今ではすっかり定番化しています。

では、瑞穂酒造の泡盛はどんなものがあるのでしょうか?
「人気があるのは『ロイヤル瑞穂』 。5年以上熟成を重ねた良質な古酒から個性が異なるものを選び、独自の比率でブレンドしています。香ばしく甘い香りとなめらかな口当たりが楽しめます」

口に含むと、キャラメルやナッツのような香ばしさとやさしい甘みが広がり、まろやかな味わいが飲みやすいと広く支持されている商品です。
同じく5年以上熟成させた古酒をブレンドし、アルコール分を25度におさえ、より飲みやすくした「マイルド瑞穂」も人気だそうです。
首里城をイメージしたデザインが印象的な「古都首里」は沖縄限定なので、観光客の方におすすめです。
「古酒の旨味、香りをしっかり味わいたい方には『古都首里』です。十年熟成古酒ならではの芳醇さはたまりませんよ。アルコール分35度仕上げによるしっかりした飲み口は、瑞穂酒造自慢の逸品です」

バニラのような甘い風味の中に、ほのかに果実の香りも感じられる香りは、十年ものならでは。
玉那覇さんが個人的に一番好きだという「珊瑚の森」は七年古酒。
ブルーのボトルとオリジナルデザインのかぶせ布は珊瑚をイメージしています。
沖縄限定商品なので、お土産や贈り物にもぴったり。
グラスに注ぐとキャラメルのような香りがふわっと鼻をくすぐります。

「甘さとまろやかさがありながら、深みも感じられる特徴的な味わいです。ストレートで飲んだ後にロックや水割りで飲むのも風味が変わっておすすめですよ」
「珊瑚の森」は環境活動プロジェクト商品なので、売り上げの一部は珊瑚の保全活動に寄付されます。
おいしい泡盛を飲んで、環境活動にも一役買えるなんて、お得な気分です。
3.プロがすすめる泡盛の楽しみ方
さすがは首里最古の酒造所、瑞穂酒造では紹介した泡盛以外にも多彩な種類があります。
魅力たっぷりの泡盛をより楽しめるよう、泡盛のプロからおすすめの飲み方を教えてもらいました。
「グラスに氷を入れたら、すぐにお酒を注ぐのではなく、一度グラスを冷やしてみてください。マドラーで20回くらい氷をかき回し、グラスがよく冷えたら泡盛を入れる。泡盛がしっかり冷やされ、喉も心も潤してくれます」
度数や好みによって割り方はさまざま。
でもちょっとアルコール度数が強いという方には常温の水割りもいいそうです。
「ゆっくりまったり味わいたい方にはおちょこで飲むことをすすめています。ちょっとしたおつまみ、それにチェイサーと一緒に少しずついただくといいですよ。実は泡盛は食中酒としてもあうんです」
気分にあわせて大人っぽくしっとりと飲んだり、ときにはコーラやサイダーで割ってハイボール風にと、泡盛の楽しみ方は無限大。
瑞穂酒造でも、大きなイベントなどで泡盛やラムのカクテル試飲などをふるまって、いろいろな飲み方があることを広く宣伝しています。
「泡盛の魅力って、常に熟成されていることだと思うんです。今飲んでもおいしいけれど、明日はもっとおいしい。来年はもっともっとおいしい。自分で育てていけるお酒ってなかなかありませんよ」と笑顔。
玉那覇さんは、「ONERUM」プロジェクトについても、最終的な目標は泡盛にあると話します。
「ラムといえば世界三大スピリッツのひとつ。私たちで世界に通用するラムを作り出すのが夢です。沖縄は小さな島ですけれど、ここでもラムが作れるんだと注目されて、さらにそこからラムを造る瑞穂酒造の泡盛も世界に知られてほしい。泡盛は沖縄の宝だと世界中に知ってほしいです」
熱く語る玉那覇さん、素敵な笑顔からは泡盛を本当に大切にしていることが伝わります。

瑞穂酒造オンラインショップでは沖縄県外・送料無料キャンペーンを実施中。
県の取り組みによるもので、2023年1月27日までの注文受付分が対象となります。
この機会にオンラインショップを利用するのはもちろん、地元でしか手に入らない逸品を求めて現地に足を運ぶのもよし。
来社の際は、一度電話で問い合わせるとスムーズです。
今夜は瑞穂酒造の泡盛やラムで、沖縄の風を感じてみませんか?

(取材:2022年9月)
\ おすすめプラン紹介 /
住所: 沖縄県那覇市首里末吉町4-5-16
電話番号: 098-885-0121 ※要事前問い合わせ(商品がない場合もあります)
営業時間: 10:00~16:00
定休日: 土・日・祝
駐車場: あり
店舗詳細URL: https://mizuhoshuzo.co.jp/shop/
