PADI・NAUI・BSAC・SSIなど、ダイビング指導団体の違いと「正規店」の意味
ダイビングのライセンス取得を調べ始めると、必ず目にするのが「PADI」「NAUI」「SSI」「BSAC」といったアルファベットの団体名です。
「どの団体で取ればいいの?」「団体によってライセンスの価値が違うの?」——初めての方がつまずきやすいポイントですが、結論から言えば、主要団体であればどこで取得しても潜れる水深などの基準は世界共通です。それよりも大切なのは、その団体の「正規店」で講習を受けること。
この記事では、日本で講習を受けられる主要4団体(PADI・NAUI・SSI・BSAC)の違いと、見落とされがちな「正規店」の意味をわかりやすく解説します。
1. そもそも「指導団体」とは?——Cカードの仕組み
ダイビングの「ライセンス」は、実は国家資格ではありません。正確にはCカード(Certification Card=認定証)といい、民間のダイビング指導団体が「この人は所定の知識とスキルを習得しました」と認定するものです。
指導団体は、講習のカリキュラム(プログラム)と教材を作成し、所属するショップ・インストラクターを通じて講習を提供し、修了者にCカードを発行します。ダイビングショップもインストラクターも、必ずいずれかの指導団体に所属しています。
国内だけでも複数の指導団体が存在しますが(ダイビングブーム期には50以上あったと言われます)、現在の主要団体は数団体に絞られています。日本には主要団体が加盟する「 Cカード協議会(レジャーダイビング認定カード協議会) 」があり、実質的な世界標準であるアメリカRSTC基準に基づいて最低指導基準を統一しています。
どの団体でも「潜れる範囲」は世界共通
重要なのはここです。主要団体であれば、
- 初級ライセンス(オープンウォーター等):水深18mまで・日中のみ
- 中級ライセンス(アドバンス等):水深30mまで
という潜水基準は世界共通です。「PADIだから深く潜れる」「NAUIだから上」といった優劣はありません。また、 クロスオーバー という仕組みにより、初級をある団体で取得し、中級から別の団体へ切り替えることも可能です。
2. 主要4団体の特徴比較
それでは、日本で出会うことの多い4団体を見ていきましょう。
| PADI | NAUI | SSI | BSAC | |
|---|---|---|---|---|
| 発祥 | アメリカ | アメリカ | アメリカ | イギリス |
| 特徴 | 世界最大シェア。世界共通プログラムと品質管理 | 世界初のダイビング教育プログラムを作ったとされる名門 | デジタル教材(eラーニング)が充実 | 英国発祥の伝統。独自のランク名称 |
| 初級の名称 | オープン・ウォーター・ダイバー | スクーバダイバー | オープンウォーターダイバー | オーシャンダイバー |
| 初級の取得年齢 | 10歳以上 | 10歳以上 | 10歳以上 | 10歳以上 |
| 中級の取得年齢 | 12歳以上 | 10歳以上 | 15歳以上 | 15歳以上 |
PADI(Professional Association of Diving Instructors)
世界のダイバーの6割以上がPADIのCカードで潜っているとも言われる、世界最大のダイビング教育機関です。世界180カ国に13万人以上のプロメンバーが在籍しています。
最大の強みは、世界共通のプログラムと品質管理体制。「クオリティ・マネジメント」という専門チームが講習内容をチェックし、指導基準に従わないインストラクターは資格停止になることもあります。プログラムが世界共通のため、「日本で学科・プールを受けて、海外リゾートで海洋実習」という分割受講も可能です。
取得後のステップアップコースや、海外で潜る際のショップ選びの選択肢が最も広いため、「将来は海外でも潜りたい」という方に特におすすめです。
NAUI(National Association of Underwater Instructors)
PADIと同じくアメリカに本部を置き、世界で最初にダイビング教育のコースプログラムを作ったと言われる歴史ある団体です。レギュレーター(呼吸装置)の発明者の一人であるジャック=イヴ・クストーが顧問を務めていた時期もあります。
「最愛の人を任せられる信頼」を理念に掲げ、しっかりとした基礎教育に定評があります。かつてはハードなトレーニングのイメージがありましたが、現在のカリキュラムは他団体と同水準です。PADIと比較すると講習費用がリーズナブルに抑えられやすい傾向があります。
SSI(Scuba Schools International)
1970年にアメリカで設立され、世界110カ国以上・2,400以上の加盟店を持つ団体です。スキューバだけでなくフリーダイビングやシュノーケリングのプログラムにも力を入れています。
最大の特徴はデジタル教材(eラーニング)の充実。スマートフォンでの事前学習システムが整っており、旅行前に学科を済ませて現地では実技に集中する、という効率的な取得スタイルに向いています。
BSAC(British Sub-Aqua Club)
英国発祥の伝統ある団体で、ランクの名称が独特です。初級を「オーシャンダイバー」、中級を「スポーツダイバー」と呼びます。名称は違っても、潜水基準(初級18m・中級30m)は他団体と共通です。安全性を重視した教育方針に定評があります。
結論:団体選びで迷いすぎなくていい
4団体の比較を見て分かるとおり、カリキュラムの大枠と潜水基準は共通で、違いは「教材のスタイル」「費用感」「取得後の世界での通用度」といった程度の差です。旅行先での使いやすさを考えると、できるだけ大きな団体(特に世界シェアの大きいPADI)のCカードが安心ではありますが、それ以上に重要なのは「どの団体か」より「どのショップで、誰に教わるか」です。
3. 見落とされがちな「正規店」の意味——ここが本当の分かれ目
同じ団体名を掲げていても、店のレベルは同じではない
ライセンス講習は、指導団体に認定されたインストラクターであれば開催できます。極端に言えば、ショップに所属せず個人で活動しているインストラクターから教わってもCカードは取得できてしまいます。
しかし、おすすめできるのは各団体の正規加盟店(正規店)として登録されているショップでの講習です。正規加盟店は、認定実績や安全対策など、指導団体が定めた一定の基準をクリアした店舗だからです。同じ「PADI」「NAUI」のロゴを掲げていても、団体の基準で店舗ごと審査されている正規店と、個人インストラクターの裁量に委ねられた講習とでは、品質管理のレベルが異なります。
正規加盟店かどうかは、各指導団体の公式ウェブサイトのショップ検索で確認できます。たとえばPADIでは「PADIダイブセンター/ダイブリゾート」として登録店を公開しています。講習を申し込む前に、必ず団体の公式サイトでその店舗名を検索してみてください。
マイナー団体のCカードで起きる「潜れない」問題
もう一つ知っておきたいのが、Cカードの「認知度」の問題です。
認知度の低い団体のCカードだと、旅行先のショップで「このカードは見たことがなく、どんなトレーニングを受けたか確認できないので、タンクをお貸しできません」と断られる恐れが実際にあります。Cカードは身分証ではなく「受けた訓練の証明」なので、相手のショップがその団体を知らなければ証明として機能しないのです。
主要4団体(PADI・NAUI・SSI・BSAC)であれば国内外で広く通用しますが、聞き慣れない団体名のショップで取得を検討する場合は、その団体がCカード協議会に加盟しているか、世界でどの程度通用するかを事前に確認しましょう。
沖縄では「正規店」がもう一つの意味を持つ
沖縄でダイビングをする場合、「正規店であること」にはさらに重要な意味があります。
沖縄県では水上安全条例により、ダイビング事業者に公安委員会への届出が義務付けられており、さらに安全対策の優れた事業者は「安全対策優良海域レジャー提供業者(マル優)」に指定されます。つまり沖縄の優良ショップは、
- 指導団体の正規店 としての基準(講習品質・認定実績)
- 沖縄県の公的制度 による基準(届出・マル優の安全対策)
という二重の客観基準で確認できるのです。詳しくはマル優制度の解説記事と安全なダイビングショップの選び方をご覧ください。
4. まとめ:団体の違いは小さく、「正規店かどうか」の違いは大きい
沖楽に掲載しているダイビングショップは、各ダイビング指導団体の正規店、または沖縄県のマル優認定店のみ。どのプランを選んでも、団体と県の客観基準をクリアした店舗です。あとは、あなたの行きたい海と楽しみたいスタイルで選んでください。
出典・参考資料
各団体のプログラム内容・取得年齢・登録制度は変更される場合があります。最新の情報は各指導団体の公式サイトをご確認ください。

