「通り池」といえば、宮古島エリアの中上級者向けダイビングスポットとして有名で、季節や気象条件にも恵まれないとなかなか行くことの難しい、ダイバー憧れの場所です。
一度は潜って見たいですよね。
「でも海なんて潜れない」「せっかく来たのに海が大荒れ」
そんな方におすすめなのが、陸から眺める通り池です。
海からでも陸からでも楽しめる通り池、一刻一刻と変わる神秘のブルーに癒されてみてはいかがでしょうか?
\ おすすめプラン紹介 /
1.国の名勝及び天然記念物に指定された、宮古島からレンタカーで約30分の下地島 観光スポット
宮古島からレンタカーで伊良部大橋を渡り、一路下地島へ。
駐車場に車を止め、キラキラと木漏れ日が差す小道を登っていくと、すぐにひらけた明るい場所に到着。
さらに遊歩道を進むと、小休憩のできる東屋、そして2つの大きな神秘的な池が迫ってきます。
「通り池」は、海側の池(直径75m・水深45m)と陸側の池(直径55m・水深25m)の総称で、この2つの池は地下部分でつながっており、さらに海側の池は、池の深いところにある洞窟で外海ともつながっています。
このような地形はとても希少で、また周囲には貴重な植物が分布していることから、2006年7月28日に国の名勝及び天然記念物に指定されました。
遊歩道は通り池の先にも続いているので、のんびりと植物の観察も楽しむことができます!
また下地島空港から飛び立っていく飛行機を見ることもできますよ!
しかし、この遊歩道は、台風のたびに被害に遭い、修繕を繰り返してきました。
そのためか以前は鍋底池(なべぞこいけ)とよばれるギザギザとした鍾乳石のところまで行くことができたのですが、今では遊歩道が少し短くなってしまい、途中までしか行くことができません。
鍋底池は、「生まれ変わりの池」ともよばれ、火の神、風の神、水の神の3人の神様が住んでいるという聖なる場所。
波が荒い時には鍋底が沸騰しているかのように泡立つということから名付けられたそうです。
もしかしたら波が荒い日は、遠目からでも、鍋底から沸き立つ荒波が見えるかもしれませんね。
2.潮の干満によって変わる水色
通り池は外海とつながっているため、潮の干満により水深が変化します。
それにより塩分濃度や水温まで変化するため、その時々によって水の色までも変化するという神秘の池です。
しばらく眺めていると、何だか池に吸い込まれていきそうな気がしてきます。
取材時は深い深い紺色をたたえていました。
3.語り継がれる数々の伝説
通り池にはさまざまな伝説が語り継がれていますが、その中でも2つのお話をご紹介したいと思います。
■ユナイタマ(人魚)伝説
昔、下地島の木泊村に住む漁師が、いつものように漁をしていたところ、なんとユナイタマ(人魚)を釣り上げました。
「これはすごい」と漁師はユナイタマの半身を切って、隣の家の人におすそ分けしたそうです。
夜になり、突然、海の彼方から「ユナイタマよ、帰っておいで」という声が聞こえました。
そして島の方からは「私は体の半分を食べられてしまって帰れません」という声が・・・。
さらに海から「それなら大きな波を送るから、それに乗って帰っておいで」という声が聞こえたかと思うと、すぐに大津波が三度も押し寄せ、下地島の村は全て波に飲み込まれてしまいました。
大津波が去った後、ユナイタマを釣り上げた漁師と、そのお隣さんの家があった場所には、ぽっかりと大きな穴が開き、これが通り池となったそうです。
■継子(ままこ)伝説
昔、下地島に住んでいた漁師が妻に先立たれてしまい、残された男の子を育てるため、後妻を迎えました。
3人は仲良く暮らしましたが、やがて後妻は自分に男の子が生まれると先妻の子を疎ましく思うようになりました。
ある日、後妻は2人の子どもを連れ、通り池へ行き、先妻の子(兄)を足場が滑りやすいツルツルとした岩場に、自分の子(弟)をゴツゴツとした岩場に寝かせました。
深夜になり、後妻は、ツルツルとした岩場に寝かせていた子を池に突き落とすと、自分の子を背負って一目散に家へと走りだします。
すると背中から「弟は連れて帰らないの?」と池に落としたはずの先妻の子の声が・・・。
優しい兄は、ゴツゴツした岩場でなかなか眠れない弟と場所を変わってあげていたのです。
間違って最愛の我が子を殺してしまったことに気づいた後妻は、先妻の子を放り出し、池に戻ると、自身も池に身を投げたということです。
ちなみに、このお話は海側の方の池の伝説で、実際に今でも大きい方の通り池には「継子(ままこ)台」と呼ばれる岩が残っています。
何とも悲しいお話ですね。
数々の伝説に思いを馳せながら、池を眺めていると、ボコボコボコ・・・と水泡が!?
「ユナイマタついに現るか!?」と思いきや、そうここは有数のダイビングスポット、ダイバーたちが次々と浮上してきました。
そんなこともたまにはありますが、自然が創り出した奇跡の「通り池」、干満により一刻一刻と変わる神秘のブルーを眺めながら、さまざまな伝説に思いを馳せてみてはいかがでしょうか?
Photo&text: 松川千鶴
(取材:2021年7月)
\ おすすめプラン紹介 /
住所: 沖縄県宮古島市伊良部佐和田
駐車場: 有り
その他: トイレ:有り