石垣島から高速船で約15分の竹富島は、周囲9.2km、人口約350人ほどの小さな島です。
赤瓦屋根の町並みに真っ白な珊瑚の道が美しい竹富島ですが、そこには島民の営みがあり、深い文化と歴史があります。
今回紹介する環境省の建物である竹富島ビジターセンター「竹富島ゆがふ館」は、この島の自然環境、文化や歴史などについて深く知ることができる素晴らしい施設です。

1.知ることで見え方が変わる竹富島の景観
竹富島ビジターセンター「竹富島ゆがふ館」は、西表石垣国立公園竹富島の自然、伝統文化や芸能などを紹介する施設として 2004年6月24日に開館しました。
開館した翌年の2005年には、約33万人もの来館者が施設を訪れています。
館名の「ゆがふ」とは、「天からのご加護により豊穣を賜る」という意味の「ゆがふ=世果報」から名付けられ、来島者と島民の間により良い交流が行われることを願い名付けられました。
館内は、天井が高く大きな窓があることから開放感があり、ゆったりとした間隔で設置されたテーブルや椅子でくつろぐことができます。
本棚に並んだ書籍などを広げてのんびりと過ごしたり、鳥の鳴き声や蝉の鳴き声に耳を傾けてみたり、お友達とおしゃべりを楽しんだりするのにも心地よい空間です。

島民の言葉を集めた展示物、神話や民話、古謡や語りを聴くことができる展示物、竹富島の民具や織物などの手仕事、竹富島にまつわる書物、竹富島で撮影された古い町並みの写真などがあります。


また、映写室のテードゥン シアターでは、7分ほどの竹富島についての映像を鑑賞することができます。
(上映時間は、毎時20分と50分。15時と16時台は10分ごとに上映)
島の子どもたちを通して1年の暮らしを紹介する映像「うつぐみの島」は、館内のモニターにて視聴できます。
暮らしの中で、子どもたちが成長していく姿に感動する映像となっています。
また観光では見ることができない島人の日常を垣間見ることができるのも、この映像作品の魅力です。
ご希望の方はスタッフまでお申し出ください。

どの展示物にも竹富島の文化や歴史を感じ取ることができ、この島をより深く知ることができます。

こちらのスペースに敷いてある藁を編んだマットは、竹富島の言葉で「ニーブ」といい、数名の島人が協力し合いながら作り上げたものです。
「竹富島の景観がなぜこのようになっているのか、そのヒントがこの施設内には散りばめられています。 ただ『きれいな島だな』と思うのではなく、『なぜこのような景観になったのか、なぜこの島がきれいなのか』を知ることでもっとこの島の魅力が身近に感じられるようになると思います」とNPOたきどぅん 阿佐伊 拓(あさい たく)さん。

2.展示物から感じる島の暮らし

館内には、様々な展示の中に神話や民話、うたなどが録音された「音」の展示もあります。
竹富島の言葉である「テードゥンムニ」を聴くことで言葉の美しさはもちろん、「ここは竹富島だ」という雰囲気を身近に感じることができます。
竹富島では、祭事などでうたわれる幾つもの「うた」を島民の努力により継承してきました。
しかしその中には、音程がつかみにくく難しいものもあり、このように録音され残されているのは、未来の島の子どもたちにとっても重要なことです。

椅子のカバーには竹富島の織物が使用されていたり、ベンチには月桃という植物の繊維を乾燥させて編まれた円座が置かれていたりと、いたるところに島の手仕事を見ることができます。

「竹富島ゆがふ館」は、毎週土曜日に竹富島の島民に向けて「民具づくり教室」を開催しています。
手わざの継承の場としても大切な施設です。

「展示物に記されている言葉は、島の先人たちが残してくれた言葉で島の財産です。この一つひとつの言葉に島の暮らしを感じてもらえたらと思っています。また、竹富島を観光した後に、船を待つ時間を使って来館する方もいますが、島を知ることでより豊かな観光ができることから、最初に来館することをおすすめします」と、NPOたきどぅん 阿佐伊さん。

展示物などの解説を希望される方は、館内窓口にてスタッフにお声かけください。
Photo &Text:水野 暁子
(取材:2023年7月)
住所: 沖縄県八重山郡竹富町字竹富2350番地
電話番号: 0980-85-2486
料金目安: 無料
営業時間: 8:00〜17:00
定休日: 台風時
店舗詳細URL: http://www.taketomijima.jp/