創業は1902(明治35)年。
沖縄にある泡盛蔵元の老舗「咲元(さきもと)酒造」、実はちょっと意外な場所にあるんです。
1.意外なところにある訳は
「咲元酒造株式会社」(以下、咲元酒造)があるのは、恩納村の有名テーマパーク「琉球村」の中。

赤瓦の門をくぐり、チケット売り場から中に入って右手奥に咲元酒造の工場兼本社があります。
琉球村内の古民家「旧國場家」の近くにあり、社屋前の広場には芝生が生い茂り、静かで気持ちが良い場所です。

咲元酒造は、1902(明治35)年、初代・佐久本 政明氏が「佐久本酒造場」として首里鳥堀で創業しました。
戦禍により一時的に休業しますが、戦後の昭和21年(1946年)に首里酒造廠(しゅりしゅぞうしょう)として復活。
泡盛作りでカギとなる黒麹菌を焼け跡から見つけ、再び酒造りに着手します。
現在の「咲元酒造」への改名は、1961(昭和36年)、法人化に際して行われました。
ちなみに名前の由来は、1950(昭和25)年、当時の国税庁長官との座談で「サキ」(※沖縄の方言で「酒」)の元である蔵元ということと、創業者の苗字「佐久本」をもじり、「咲元(サキモト)」の商標を発案したことから。
そんな咲元酒造が工場の老朽化などに伴い、恩納村山田の琉球村に移転したのは、2020(令和2)年7月のことです。


2.咲元酒造の酒造り
移転後も、咲元酒造では製造方法を首里での製造に近い状態で引き継ぎ、伝統の味は変えていません。
新工場は2階建てで、貯蔵タンクも大幅に増え、パワーアップしました。
では、今はどんなお酒を作っているのか?
咲元酒造の上原 豪留さんにお話を伺いました。

「咲元酒造では、首里工場で製造・仕次ぎ貯蔵した泡盛を継承した『咲元復刻ラベル』(25度、30度の2種類)や、三年古酒、五年古酒、濾過を控えて瓶詰めした粗濾過泡盛などを製造販売しています。定番の『咲元復刻ラベル』はのど越しがスムーズでマイルドな味わいが特長です。古酒の方は、じっくり貯蔵した自慢の原酒を使っていて、ほど良い甘みが人気の商品です」

「注目商品としては、ここ琉球村の新工場から発売する新しい銘柄『咲元蔵波(KURAHA)』があります。新製法で造られた蔵波は、スッキリした味わいで泡盛初心者や女性にもおすすめです。ハイボールやカクテルベースにもよく合って、魚介系の前菜や、オリーブ油、トマト系のソースを使った魚介料理とペアリングすると、より美味しくいただけると思います」

上原さんによれば、紅茶やシナモンなどと割って飲んでもおいしいそう。
鷹の爪と大葉を加えた「金魚割り」も、「ピリッとした刺激が意外に飲みやすいです」と教えてくれました。

3.お土産品としても人気が高い
創業当時の味を守った泡盛や新商品まで、幅広いラインナップが魅力の咲元酒造ですが、さらにおすすめがあるそう。
上原さんは「琉球村に移転したことを記念して、『多幸山 HAPPY MOUNTAIN』シリーズを造りました」と琉球村のお土産売り場を案内してくれました。
「琉球村がある多幸山から名付けました。多幸山は英訳するとさらに縁起が良く、お土産にも喜ばれる泡盛ですよ」


「軽い飲み口で、食前酒におすすめです。炭酸水で割るのもおいしいです」
「多幸山 HAPPY MOUNTAIN」シリーズは現在、25度と44度、古酒44度の3種類(サイズ違いあり)を展開。
「お客様のご要望にお応えして、近々古酒30度も販売する予定です」と上原さん。
琉球村の土産品店以外だとオンラインショップで販売しています。


古きを守り、新しきを開拓する咲元酒造。
沖縄本島北部地区の泡盛酒蔵所と連携してイベントを開いたり、宜野湾市とコラボした泡盛が2023年沖縄県推奨優良県産品に選ばれるなど、さまざまな取り組みをしています。
「今は工場は外からの見学ですが、来年から工場内見学を始める予定です。予約制で、試飲もしていただこうと、今いろいろ準備しています」


工場見学の開始時期や細かい条件などは、公式ホームページやSNSなどで紹介するそうです。
気になる方は咲元酒造、琉球村の情報をこまめにチェックしてください。
また、「やんばる泡盛祭り」などのイベントなども定期的に行なっていく予定です。
琉球村を訪れる際には、ぜひ咲元酒造も忘れずに!

(取材:2023年11月)
住所: 沖縄県恩納村山田1473番1(琉球村内)
電話番号: 098-963-0208
営業時間: 施設に準ずる
定休日: 日曜
駐車場: あり(施設共有)
その他: 公式オンラインショップ:https://shop.sakimoto-awamori.com/
店舗詳細URL: https://www.sakimoto-awamori.com/