沖縄自動車道の許田ICを降りて車で約5分のところにある「ヘリオス酒造」では、無料で酒蔵見学ができます。
約2000もの泡盛の樽を貯蔵する蔵や、県内ではとても珍しい銅製蒸留機など見どころ満載!
さらに見学の最後は、直営ショップで製造するお酒のほとんどを無料で試飲することもできます。
「見る」「聞く」「香る」「味わう」「触れる」の五感で、泡盛が生み出される道のりを体感しましょう。
\ おすすめプラン紹介 /
1.沖縄の素材で沖縄ならではの酒造りを続ける総合酒類メーカー
ヘリオス酒造があるのは、沖縄本島北部 名護市の許田(きょだ)。
昔から名水の地として知られ、緑豊かな自然に囲まれています。
1961年創業、ヘリオス酒造は県産のさとうきびを使ったラム酒のメーカーとしてスタートしました。
上の資料写真は本土復帰前、沖縄の最高責任者だった高等弁務官が工場見学に訪れたときの様子です。
現在は、「泡盛」「ウイスキー」「スピリッツ」「リキュール」「クラフトビール」の製造免許を持つ、沖縄唯一の総合酒類メーカーに成長。
県内のみならず東京や台湾にまで支社ができるようになりました。
製造方法や原料にこだわり、美しい湧き水で磨かれ、泡盛はおいしくなります。
香り華やか味まったり、そんなヘリオス酒造の泡盛ができるまでを覗いてみましょう。
2.ヘリオスが築き上げた“泡盛造りの技術と精神にふれる”酒造見学
泡盛は3年以上熟成させたものを古酒と呼び、こちらの第二工場ではその古酒になる前の原酒を作っています。
案内してくれたのは製造本部長の玉城英哉さん。
御年70歳とは思えない若々しさで、不定期ですがこうした案内やセミナーの講師を務めているそうです。
さすが知識豊富でいろいろな雑学を交えながら楽しく解説してくれました。
米麹に水と酵母を合わせ、泡盛のベースとなる「もろみ」を仕込む発酵タンク。
高さは約4メートル、中は20キロリットル(2万リットル)も入るそう!
黒糖に似た甘さに少し酸味が混じったような香りが漂っています。
発酵タンクを上から見た様子。
タンクの蓋を開け、職人が長いひっかき棒で中身を力いっぱいかき混ぜ発酵を促進させる場所です。
発酵すると熱が発生するため、温度調節もしっかり行われています。
原料米にふれることもできます。
こうした原料米に黒麹菌がくっつき、米のデンプンを甘いブドウ糖に変え、酵母を加えて発酵させることで「もろみ」ができあがります。
泡盛造りに欠かせない黒麹菌。
「この建物が黒いのも全て黒麹菌なんですよ」と玉城さんが教えてくれました。
県内ではこちらでしか見ることのできない銅製蒸留機は必見!
銅は熱伝導がよく効率的に蒸留でき、また含まれる銅イオンが泡盛の熟成を助けます。
こちらで「もろみ」に熱を加えるとアルコールが湯気となって上がり、冷やされて取り出すことができます。
まさに泡盛が生まれる瞬間です。
工場でできた泡盛の原酒は「二の蔵」へ送られます。
樫樽(かしだる)による長期熟成はヘリオス酒造最大のこだわり。
なんと約2000樽以上も貯蔵されています。
樹齢約80年の樫の木を使った樽の中で3年以上寝かせた古酒。
樫樽を使うラム造りの技術を泡盛に応用して生まれました。
「泡盛は“造り”も大切ですが“育ち”も大切です」と玉城さん。
寝かせるほど味が深まる古酒は泡盛だけがもつ個性。
「ウイスキーも樫樽を使いますが、ウイスキーは瓶詰めしたときから味は変わりません。ですが不思議なことに泡盛は瓶詰めした後も育っていきます。それが黒麹菌の力です」
ずらりと並んだ樽の中身は人気No1商品、その名も「くら」(720ml、1,320円)。
無色透明だった泡盛は、樫樽熟成されると琥珀色に変化。
発売から30年以上、それまで泡盛はオヤジの酒というイメージがありましたが「くら」は華やかな香りで飲みやすく、女性の泡盛ファンが一気に増えるきっかけとなりました。
また中でも特別な樽がこちら。
2000年の沖縄サミットを記念し「百年後の未来も太平の世がつづくように」との願いを込めてつくられたオーバルカスク。
百年物の泡盛造りに挑戦中のため、飲めるのはまだ随分先のこと。
今も静かにその時を待っています。
見学はできませんが、敷地内にはほかに約200樽が眠る「一の蔵」もあります。ツタに覆われた趣のある佇まいが印象的。
左は、ブレンダーが原酒を調合し味を整えてから瓶詰めするための「第一工場」、右は「クラフトビール工場」。
これらの工場から出た泡盛の搾りかすは、地元の農家さんがさとうきびや紅いも畑の肥料として再利用しているのも凄いところです。
3.お楽しみ試飲タイムでお気に入りの一本を見つけよう
見学の最後は直営ショップへ。泡盛やウイスキーをはじめ、紅いも焼酎、黒糖酒、ハブ酒、オリジナルグッズまで多彩に取り揃えています。
貴重な古酒や、ここでしか手に入らない限定品もあるので要チェック。
看板商品の「くら」は250ml(550円)のミニボトルから、720ml(1,320円)、一升瓶(2,478円)まで揃い、中でも黒いパッケージのショップ限定「くらブラック」(720ml、2,241円)は玉城さんもイチ押し。
三年古酒に、五年古酒をブレンドしたより深い味わいが楽しめる一本です。
「くら」シリーズは熟成したチーズなどはもちろん、刺身などの生ものともよく合いますよ。
実は沖縄初のクラフトビールをつくったのもヘリオス酒造。
ゴーヤーやシークヮーサーなど県産の素材にこだわった個性派揃いで「4本セット1,248円」はお土産にもぴったりです。
お待ちかねの試飲タイム♪カウンターで好きなお酒を注文できます。
一部の年代物を除き全て試飲無料。
クラフトビールもOKです。
玉城さんは「ここでスタッフの説明を聞きながら飲んでいただくと、舌の上に泡盛の地図ができます。新酒と3年古酒、8年古酒の芳醇さの違い、また樫樽仕込みと甕(かめ)仕込み、ステンタンク仕込み、いろいろ飲み比べてみて自分の好みの味が見つかったら、そこからまたスタートです」と楽しみ方を教えてくれました。
貴重な「くら」原酒が「8年物200円」「12年物300円」で味わえるのもうれしいところ。
泡盛のコクと芳醇さに樫樽の風味が合わさった、甘くまろやかな味わいが絶品です。
樫樽のオシャレなテーブルと椅子も完備。くつろぎながらゆっくり試飲できます。
伝統を守りながらも、新しく挑戦し続けるヘリオス酒造。
こだわりの詰まった泡盛が誕生する物語をその身をもって体感してみませんか?
Photo&Text:金城絵里子
(取材:2022年4月)
\ おすすめプラン紹介 /
住所: 沖縄県名護市字許田405
電話番号: 0980-50-9686
料金目安: 見学無料/所要約1時間
営業時間: 9時〜18時(ショップは平日10時〜17時)
定休日: 不定休
駐車場: あり
その他: ドライバーの方、未成年の方は酒類をご試飲いただけません。
店舗詳細URL: https://www.helios-syuzo.co.jp/