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キングタコス 金武(きん)本店

沖縄を代表するご当地グルメ「タコライス」。

今やすっかり全国区になり、日本各地に専門店がある人気のファストフードですが、その発祥店をご存知ですか?

沖縄県の北部、金武町という小さな町の「キングタコス」というお店が、タコライスの元祖なんです。

沖縄県民には「キンタコ」の愛称で親しまれているこのお店は、いかにしてタコライスを広めていったのでしょう?

その秘密に迫ります。

目次

1.タコライスの発祥の店「キングタコス」は米軍基地の町、金武町だからこそ誕生した

キングタコス 金武(きん)本店|アメリカナイズされた金武町の街並み

キングタコス 金武本店があるのは、沖縄県北部の金武町。

「キャンプ・ハンセン」という米軍基地の門前町として栄えた歴史を持つ町です。

今でもあちこちに英字で書かれた看板が見られ、日本離れした独特の雰囲気が漂います。

この「米軍基地の門前町」ということにこそ、キングタコスが誕生した理由がありました。

キングタコス 金武(きん)本店|アメリカナイズされた金武町の街並み2

キングタコスの創業者である儀保松三(ぎぼまつぞう)さんが、金武町でお店を開いたのは1984年。

それ以前は沖縄各地で軍人向けのバーを営んでいましたが、酒に酔った米兵同士のケンカがある度に商売あがったりの繰り返し。

基地の街を転々とする不安定な暮らしを続けていました。

そんな折、キャンプ・ハンセン近くに空き物件を見つけ、金武町へ移り住むことに。

もともと「レストラン千里」という名前だった中華料理店を居抜きで借り、経費削減のため看板など使えるものはそのまま使いました。

キングタコスの前身であるお店が「パーラー千里」という名前だったのは、そのためです。

キングタコス 金武(きん)本店|現在の本店外観

当初はやはり軍人向けに食事やお酒を提供していましたが、日本の好景気に並行して円高が進み、軍人でも基地の外で多くのお金を使えない状況になってしまいます。

そこで、「お金がない軍人でも日本人でも、安くてお腹いっぱい食べられる料理を」と考案されたのが、タコライスでした。

キングタコス 金武(きん)本店|お皿に山盛りのタコライス

「タコスは以前からありましたが、レストランでフォークとナイフを使って食べるかしこまった料理でした。もっとスピーディーに提供できて、安くてボリューミーな方がいいということで、タコスの具とライスを合わせたものを考えたようです」

そう教えてくれたのは、儀保さんのお孫さんであり、キングタコスの現社長である島袋小百合さん。

最初こそ「変な食べ物」と見向きもされませんでしたが、その安さ、ボリューム、美味しさから徐々に口コミで知られ始め、評判は金武町全体に広まりました。

今ではキングタコスは金武本店含め沖縄県内で7店舗を構えるまでに。そしてタコライスを作るお店も一気に増加し、県民食として愛されるようになりました。

2.キングタコスは県外で決して店舗を構えることがない、沖縄だけのご当地グルメ

キングタコス 金武(きん)本店|秘伝のタコスミート

沖縄以外で作られるタコライスは、ちょっとおしゃれなカフェ飯的なものが多くありませんか?

しかし「キンタコ」のタコライスは、「おしゃれ」や「かわいさ」からは程遠い食べ物です。

基本のキンタコ流タコライスは、秘伝の味付けで調理されたタコスミートだけがライスの上にどーんと乗った、シンプルかつワイルドなもの。

これはかつて「生野菜嫌いの軍人さんが多かった」名残だそうです。

チーズや野菜はあくまでトッピングですので、野菜も食べたい方はご注文をお忘れなく。

キングタコス 金武(きん)本店|タコライスを盛り付けている様子

3人前はありそうなご飯の上に、タコスミートと野菜もたっぷり。

豪快なだけに見えるタコライスですが「ご飯は美味しいものじゃないとたくさん食べられない」という考えのもと、米は一級品を必ず使うというこだわりよう。

キングタコス 金武(きん)本店|タコス

タコライスと同じく人気なのがタコス。

キンタコでは、トルティーヤもしっかり手作りしています。

カリッと揚げられたトルティーヤは香ばしく、いくつでも食べられてしまいそうなほど。

キングタコス 金武(きん)本店|特性タコソースがついたタコス

そのままで食べても十分美味しいタコライスとタコスですが、一味加えたい場合はケチャップか辛味の効いた特製のタコソースを。

特に量の多いタコライスはソースで味に変化を出すことで、最後まで飽きずに食べられます。

ちなみに店頭にケチャップを置いているのは、金武本店だけ。本店に行った際はぜひお試しあれ!

キングタコス 金武(きん)本店|注文カウンター

多くの人が訪れるとともに、多くの人が働いてきたキングタコス。

スタッフの中には、県外で別のタコライスショップをオープンさせた人もいるとか。

しかし「キングタコス」の暖簾は、決して県外へは分けないそうです。

「タコライスが広まるのは全然構わないんです。私の祖父も、他店が真似するのを厭わなかったからこそ、これだけタコライスが広まったんですから。でも、『キングタコス』は沖縄だけのものにしたい。家族で守ってきた味を、これからも沖縄で伝えていきたいんです。そしてタコライスを目的に、金武という小さな町、引いては沖縄を訪れて欲しいんです」

と、社長の島袋さん。お祖父様より受け継いだ伝統の味は、沖縄だけで食べられる特別なごちそうです。

text:仲濱 淳

Photo:白木 裕紀子

(取材:2019年12月)

住所: 金武町金武4244-4

電話番号: 090-1947-1684

営業時間: 10:30〜21:00

定休日: 年中無休

駐車場: あり

その他: ※今回取材した店舗のほか、キングタコスは沖縄県内に5店舗あります。詳細は公式FBページをご確認ください。

店舗詳細URL: https://www.facebook.com/kingtacos/
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