どんなパンが好きですか?
食パン、クロワッサン、バゲット、ベーグル、メロンパン、シナモンロール…どれも人気ですが、今回ご紹介するのは、毎日食べても飽きがこない素朴なパン。
沖縄では、老若男女問わず多くの人たちから親しまれているパンです。
1.標高453m。山の中にある老舗のパン屋さん

桜の名所として知られている沖縄本島北部 本部町(もとぶちょう)にある八重岳(やえだけ)。
澄んだ空気とあふれる緑に癒される山の中を車で進んでいくと、その山頂に「八重岳ベーカリー」があります。

創業は1977年。
県内のスーパーマーケット「丸大」で取り扱っていることもあり、地元では認知度の高い老舗店です。
2.全粒粉を使ったパンは、噛みしめるほどに旨味があふれ出す

こちらのパンは、いま流行りの“白くてふわふわ”系ではなく、全粒粉を配合した素朴な食感と味わい。
オープン当時、世の中では全粒粉を使ったパンは知られていなかったそうですが、必要性を感じていた創立者の比嘉恵美子(ひがえみこ)さんは、雑穀や全粒粉を使った“黒パン”を作り、販売することに決めました。

実は比嘉さん、八重岳ベーカリーをオープンする前はアメリカで看護師として働いていたそうで、沖縄にUターンをしてからは県内の病院で通訳として勤務。
医師の夫と、様々な病気やアレルギーに悩む患者さんを目の当たりにし、健康をサポートしてくれるパンを作りはじめたのです。

全粒粉を混ぜ込んだパンは、香ばしい風味と独特の食感。
強力粉100%の白いふわふわパンに比べて食物繊維や亜鉛、マグネシウム、ビタミン群が豊富に含まれています。
焼くとパリパリ、蒸すともっちりとした食感に。そして食べ応えも満点。
3.保存料や合成添加物、乳製品、卵、白砂糖を使わない身体にやさしいパン


“自然であること”を大切にしている八重岳ベーカリー。
通常のパン作りでは欠かせない乳製品や卵を使わず、体を冷やす白砂糖も使いません。
そして保存料の代わりに使うのは、敷地内で無農薬で育てたシークヮーサー。

店内には、自家製あんこを包んだ「あんぱん」、敷地内で育てた無農薬・自然栽培の生姜を混ぜ込んだ「しょうがパン」、シークヮーサーのピールやレーズン、ピーナッツを練り込んだ「シークヮーサーピールパン」、レーズンやパイナップル、クランベリーが入った「フルーツパン」など約8種類とクッキーが並んでいます。

日曜・火曜・木曜はパンの製造日。
お昼頃に焼き上がるそうなので、焼き立てを買いに出かけてみるのも良いかもしれません。
山頂からの絶景を楽しみながら、味わってみてください。
Photo&text:舘幸子
(取材:2020年10月)