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ippe coppe (イッペコッペ)

2008年のオープン以来、地元客にはもちろん観光客にも高い人気を得ている、天然酵母食パン専門店のippe coppe(イッペコッペ)。

カフェなども多い、沖縄本島中部にある浦添市(うらそえし)の静かな「港川ステイツサイドタウン(港川外人住宅街)」にたたずみ、お客さんがひっきりなしに訪れます。常連客も多いようです。

目次

1.大学で農学を学んだ経験も生かす

オーナーでベーカリーシェフの西村剛さんは、琉球大学の農学部で勉強しているとき、農薬の現状を学びました。

なかでも「ポストハーベスト農薬」の問題について目の当たりにします。

ポストハーベスト農薬とは、収穫後の農産物に対して使われるもので、保存中や輸送中に虫やカビの発生を防ぐ防虫剤や防カビ剤などを示します。

こうした農薬が使われた食材を食べると、人体に影響を与えることがあります。

もし、それを赤ちゃんが食べたら・・・と西村さんは考えました。

ちなみに輸入小麦の場合、99%にポストハーベスト農薬が使われているという話もあります。

輸送に時間がかかることを考えると仕方がないのかも知れませんが。

ただパンは、赤ちゃんが生まれて初めて口にする固形物になる場合があります。

それなのに農薬が使われた小麦が材料だったりすると、親としてはやはり抵抗を感じますね。

西村さんは、ippe coppeを開店するにあたり、こうした問題を避けるため、農薬が使われていない小麦を原料とすることにしました。

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また、「私のパン作りの基本は『引き算』です」と西村さんはいいます。

農薬なしはもちろんですが、たとえば油を抜く、卵を抜く、さらにバターも砂糖も抜くなど、よけいなものを引き算していくと、最終的に小麦、水、塩、酵母という4つの原料のみで作るパンとなりました。

このうち小麦は、北海道産、九州産、海外産などのオーガニック小麦を使っています。

水は、大宜味村喜如嘉の天然地下水「七滝の水」、塩は久米島産天然塩「白銀の塩」、そして酵母は「ホシノ天然酵母種」と、材料はシンプルながら、それぞれにこだわっているそうです。

ちなみに酵母は、当初ブドウ由来のもを使っていたそうですが、酸味が強くなって苦手な人もいるため、現在のものを使うようになりました。

ホシノ天然酵母種を導入するにあたってはメーカーに勉強に行ったそうで、これもこだわりのひとつなのでしょう。

2.実は今も夢の途中

ippe coppeをオープンする前、西村さんと奥さんは、実は宿をやりたかったのだそうです。

しかし、ノウハウもありません。

そこで、とりあえずなにか形にしようとパンのお店をやることにしたのでした。

当初はやんばるで店を構えようとしましたが、物件が見つかりません。

そこで、南へ下って探したところ、現在の物件が見つかりました。

特に外人住宅にこだわったわけではなく、たまたま空いていたということのようです。

「台風で倒れてしまいましたが、そのころはこの辺も木が多かったんです」と、西村さんは振り返ります。

「でも今は、まだ途中なんです。いずれ宿をやるかも知れません」

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ちなみにイッペコッペとは九州南部の方言で「たくさん」などという意味だそうです。

沖縄でも「たくさん」とか「とても」などというときに「イッペー」という言葉を使ったりします。

鹿児島県出身で沖縄の大学を出たオーナーらしい店名ですね。

3.一番人気は食パンとスコーン

さて、一番人気は、やはり食パンです。

小麦は「はるゆたかブレンド」という北海道産で、今流行りの高級食パンなどにも使われる高級小麦だそうです。

風味がよく、小麦のおいしさが存分に味わえます。

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もっちりしたパンで、水に浸けるとふわっと溶けるため、離乳食にも最適です。

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一方のスコーンは、奥さんが作っています。

西村さんはパサパサしたスコーンが苦手だったため、奥さんにパサつかないスコーンを作るように頼んだそうです。

それを受けて奥さんは研究を重ね、しっとりかつサクサクのスコーンの開発に成功しました。

それが今、食パンとともに ippe coppeの看板商品となっているわけです。

「パンとお菓子を夫婦で分業しているわけです」と、西村さんは笑顔で話します。

4.まだまだある人気商品

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食パンとスコーン以外にも好評の商品がいっぱいです。まず、パンとしてはハード系が多く、店の前は通学路でもあるため、子どもたちにも人気です。

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また、伊江島産の無添加ハチミツも自慢商品のひとつで、パンにつけて食べると最高においしい逸品です。

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さらにコーヒーもオリジナルブレンドで、パンやスコーンといっしょに買っていく人も多いそうです。

通販も行っており、スコーンやパンセットを冷凍で送っています。

沖縄県内はもちろん全国にファンがいます。

客層としては、小さなお子さんを持つ20代から30代の女性で、さらに40代から70代と幅広い年代のお客さんが訪れます。

なかにはお祝い用に多めに買っていく人もいるそうです。

「保育園でもパンを食べなかった娘が、おたくのパンは食べたんですよ」といってくれるお客さんもいるそうで、そういうときは「うれしい」と、西村さんはにっこり話してくれました。

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夏場は、 ippe coppeの庭に「喫茶ニワトリ」が出現します。

手作りシロップのかき氷が人気です。

ただし、新型コロナウィルスの影響により2021年以降の営業は未定です。

text:吉田 直人

Photo:根原 奉也

(取材:2021年4月)

住所: 沖縄県浦添市港川2-16-1

電話番号: 098-877-6189

営業時間: 12:30~17:30(売切次第終了)

定休日: 火曜日・水曜日・第3月曜日

駐車場: あり

店舗詳細URL: https://instagram.com/ippe_coppe_bakery/
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