モノレール儀保駅から県道241号線を通って浦添市向けに約1.5km。
赤い軒先が目印の「首里天ぷら家」があるのは、県都那覇の首里石嶺町。
沖縄の天ぷらは衣がボテっと分厚いのが特徴ですが、下味がしっかり付いているので、おやつとしてもごはんのおかずとしても食べることができます。
首里天ぷら家は、季節の野菜を使ったどっぷりと大きい天ぷら。
1つから買えるので、観光の合間にちょっと小腹が空いたときにいかがでしょうか?
1.モノレール儀保駅から車で5分。地元の人に愛される天ぷら店
よもぎ、魚、らっきょう、たーむ(田芋)、ゴーヤーと、豊富な種類の沖縄てんぷらが食べられる「首里てんぷら家」。
病院やスーパー、学校などが点在する那覇市の首里石嶺町に位置し、人も車も多く行き交う那覇市の幹線道路沿いにあります。
お店が産声をあげたのは、今から40年前。
もともとは宜野湾市で「丸茂水産」という魚屋さんを営んでいたそうですが、ふとした機会から移転先の「丸樹水産」(那覇市首里)で天ぷらを出しはじめ、モノレールの工事に伴う立ち退きで15年前に現在地に移ってきたそうです。
お客さんの年齢層は10代~80代と幅広く、歩いてくる地元のお客さんからレンタカーで来る観光客までさまざま。
地元客は10~15個などとまとめ買いが多く、観光客は1~3個などと少量の注文が多いそうです。
「観光客は若くて子連れの方も多いのよ~」
とオーナーの伊波米子さんは驚きます。
配達サービスも行っているので、那覇市、西原町、豊見城市、沖縄市などの学校や病院にかなりの量を卸しているとか。
運動会など学校行事の打ち上げでもよく「8,000円分でお願いね~」と注文が入るようで、「あちこーこー(揚げたて)を配達しているから喜ばれてるよ~」と、笑顔で話します。
2.味の原点は移民先のブラジル!旬の野菜を大胆に揚げたオリジナル天ぷら
ではさっそく、天ぷらを見ていきましょう!
こちらは、売れ筋の「さかな60円」。
首里てんぷら家のてんぷらは、一口食べるとほのかな塩味とにんにくの香りがするのですが、それは、ブラジル仕込みの味が染み込んでいるから。
伊波さんはブラジル移民1世。
23歳から36歳ごろまで13年ほど住んでいたブラジルの味からヒントを得て、オリジナルレシピを生み出しました。
首里てんぷら家の味の決め手は、にんにくと玉ねぎ!
「当時ブラジルでは、今のようなダシが売られていなくてね。自分たちで作っていたの。ウチの天ぷらは独特の味がすると思いますよ」
と伊波さんはニコっ。
柔らかくプリッとした食感の「いか60円」。
お店のてんぷらはどれも大きめ。
なんだか嬉しくなります。
こちらも人気商品「もずく60円」。
沖縄のもずくが入った天ぷらで、観光客に人気だとか。
3.沖縄の野菜は秋~春が旬! 美味しい天ぷらの材料の仕入れ方を聞いてみました
太めに切られた厚切りの「ゴーヤー60円」。
厚く切っているのでさぞ苦いかと思いきや、油で揚げられているせいか、どっぷりとした衣とあいまって、まろやかな苦さ。この苦さで沖縄の夏は乗り切ります!
「ゴーヤーはねぇ、内地(本土)にばっかり行くのよー。県内は品薄。
だから良いものが売っていたらすぐに買っていますよ~」と伊波さん。
いんげんを丸ごと天ぷらにした「いんげん60円」。
平ぺったくて長い、沖縄のいんげんを使用しており、大きくて食べごたえバツグン!
変わり種なのは「レンコンピリ辛60円」「ごぼー60円」。
伊波さんは、人がやっていないことをやるのが好きで、できるだけ他店にはない材料を使って天ぷらにしているとか。
カウンターには多いときで14種類の天ぷらが並ぶそうで、「14種類あったら、もう大満足!」と大笑いします。
今回お話を聞かせてくださったのは、オーナーの伊波米子さん。
新鮮な材料を使った天ぷらをつくるため、自ら毎日市場に仕入れに行きます。
5~10kg単位でケース買いするそうです。
「沖縄の野菜は、今が旬!ちょうどいんげんが出はじめたのよ」
と興奮しながら、
「芋は毎日はないから見つけたらすぐ買う。芋は目で食べるのよ~」
「魚は当日買えない。解体する人と事務員が一緒だから、注文したら翌日受け取る」
などと、次々と教えてくれます。
毎日同じ美味しい味を出す秘訣を聞いてみると・・!
「長年やっていても、こればっかりは難しい。常連のお客さんに『今日はイマイチ』とか言われる(笑)」
と話すものの
「とにかく丁寧に食材を選んで丁寧につくること。特にかぼちゃの味はごまかせない」
と微笑みます。
美味しいものを提供したいから、手抜きはしない。
きょうも食材1つ1つと丁寧に向き合っていきます。
那覇観光の間に小腹が空いたときは、ぜひ首里てんぷら家の旬の野菜や魚の天ぷらをほおばってみてくださいね。
混雑するのは、お昼どきと夕方4時~6時。
のんびり買いたい人は、それ以外を狙うのもアリ。
「よね(米)ちゃん!」、「母ちゃん!」と親しまれる伊波さんの満面な笑顔が、皆さまをお迎えしますよ♪
Photo&text:小鍋悠
(取材:2021年11月)
住所: 沖縄県那覇市首里石嶺町3丁目30-9
電話番号: 098-887-0085
営業時間: 11:00~19:00
定休日: 年中無休
その他: 火曜~金曜は弁当も販売中(500円)