「やんばる」と呼ばれる沖縄本島北部。
亜熱帯の樹木が生い茂るやんばるの森の中に、約32年前にオープンした「森カフェ」の先駆けのような店が「やちむん喫茶シーサー園」です。
人里離れた山奥のカフェでは、たくさんのシーサーと美しい庭、おいしい空気、優しさあふれるおやつが待っていました。
1.森の中の隠れ家のようなカフェ
沖縄本島北部、本部(もとぶ)町の山奥に佇む、やちむん喫茶シーサー園。
森に囲まれ、木々に包まれ、隠れ家と呼ぶにふさわしいカフェです。
なんと、この一帯の山々は店のオーナーの持ち物だそうです。
約32年前にオープンして以来こつこつと手入れされてきた庭には、一年を通して花々が咲き誇り、蝶や鳥が飛び交います。
母屋である店舗のさらに奥には、景色を見渡せる山小屋も。
この山小屋の利用は積極的に勧めていないようですが、希望があれば使えるとのこと。
イスとテーブルもセットされているので「森の中でお茶したい!」という方は、お店の方へ尋ねてみてくださいね。
2.屋根ではシーサーがお出迎え
店内に入ると、1階には沖縄では珍しい囲炉裏が鎮座。
古民家を増設、改築して今の姿になったということで、沖縄と本土の古民家がミックスされたような雰囲気です。
冬場の寒い日は、この囲炉裏に実際に火が入ることも。
2階にいたお客さんも1階にいつの間にか下りてきて、囲炉裏の周りに集まっているそうです。
2階は広々とした畳間の座敷。
大きな開けっ放しの窓の向こうには、青々とした庭が広がっています。
この反対側には縁側があるのですが、そちらに目を向けると・・・
縁側の目の前の屋根の上には、なぜか無数のシーサーが!
よくよく見ると、どのシーサーの表情も愛嬌があり、思わず笑みがこぼれます。
なぜこれほどの数のシーサーが飾られているのか店主に伺うと、現店主の先代であるお父様が、自身のコレクションを飾ったことが発端だったそうです。
一体飾ると、誰かからもう一体プレゼントされ、さらにもう一体譲られ・・・というように数珠つなぎで増えていき、いつの間にかたくさんのシーサーが集まったんだとか。
店の外へも目を光らせているようなシーサーたち。
守り神や魔除けとして役割は、十分果たしているようですね。
3.地元の名産品を使ったおやつ
先代が32年前にお店を作ったのは、近所の人の憩いの場を作るためでした。
その想いは今でも踏襲されているようで、ここは食事をする場所ではなく、あくまでも「お茶する場所」。
だからこそ数は少ないながらも、おやつメニューには独自のこだわりがあります。
例えば、数量限定のシークヮーサーケーキ。
地元、本部町の名産品であるシークヮーサーをたっぷり使ったパウンドケーキには、シークヮーサーの果肉入り生クリームを添えて。
そして自家焙煎のコーヒーには、敷地内から湧き出る水を使います。
こちらのおやつは「ちんぴん」と「ヒラヤーチー」。
ちんぴんは黒糖味のクレープ、ヒラヤーチーは薄いお好み焼きのようなもので、沖縄の伝統的な軽食です。
合わせるドリンクはコーヒーもいいですが、「ウルトラみかん生ジュース」もおすすめ。
地元産のみかんやシークヮーサーのブレンドジュースは新鮮そのもの。搾り立ては格別です。
おすすめの一枚
縁側に座って、緑生い茂る庭をただひたすら眺めて過ごす。傍らにはおいしいスイーツ。
旅行中はあくせくしがちですが、何もしないひと時があってもいいかもしれませんね。
text:仲濱 淳
Photo:白木 裕紀子
(取材:2020年4月)
住所: 沖縄県国頭郡本部町伊豆味1439
電話番号: 0980-47-2160
料金目安: 11:00~19:00(L.O.18:30)
定休日: 月曜・火曜
店舗詳細URL: https://www.instagram.com/yachimunkissa.shisaen/